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ブログを通じて「魂を揺さぶり情熱を燃やせる何か」を探すゲーム制作を生業とする30代の男です。 アウトドア、インドア、なんでも好きです。

「BASTARD!! 」を読んだらゲームプロジェクトが大変なことになったお話

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はじめに申し上げておきますがユレオは漫画「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」が好きです。

 

BASTARD!!をディスっているわけではありません。
 
BASTARD!!をご存知でない方に簡単に説明しますと「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」は、萩原一至による漫画作品で、1992年にはOVAでアニメ化しています。

戦士や魔物、強大な力を持つ「邪神」、天使や悪魔らと戦うバトルストーリーのダークファンタジー作品です。

現在は27巻まで出ており29年間という長期連載中の漫画です。
 
完全版は9巻まで出ております。 
   

ゲーム業界で働いていると様々な苦労話や常識疑うような話を耳にすることがあります。

私は他の業種を経験していないので一概に比較することはできませんが、ゲーム業界ではこういったことが多い業種ではないかと思っています。

今日はそんな「BASTARD!!」によってゲーム開発の現場で起きた出来事のお話です。
  

ゲーム制作での立場

ゲームを制作の現場には、大きく分けて2つの立場があります。


パブリッシャ―デベロッパーです。


パブリッシャーとはゲームを発売する業者で、デベロッパーとは実際のゲームを開発する業者になります。

 


ゲームを作るには資金が必要です。


ゲーム開発の技術がある会社でも資金が無ければ発売するどころか開発機材を確保することもできません。


パブリッシャーは資金を提供することで、自社ブランドで発売することが出来てメーカーの評価やイメージを上げられます。


契約内容によりますが、グッズ販売等でIP(*)を活用することで新たな収益を得たりします。

*intellectual property(インテレクチュアルプロパティ) = 知的財産

 

簡単に2つの立場を説明いたしましたが、皆様すでにお気づきの通り2つの立場は対等ではなく、パブリッシャーが上でデベロッパーが下という構図になります。 

 

多くの場合はデベロッパーはパブリッシャーの言うことは絶対で、パブリッシャーの意向に沿ったゲーム制作を行います。

 

プロジェクトの危機

これはセミが鳴くちょうど今頃の季節だったと思います。


同じゲーム業界で働く桃瀬さんからLINEで連絡が来ました。

 

ユレオー、金曜日の夜開いてる?飯でもいこう!

おおー、桃瀬さんお久しぶりです。良いですねー行きましょう。そろそろ忙しくなる時期とおっしゃってましたが、順調ですか?

まーそのことなんだけど、金曜日に詳しく話すわ。


ああー、これはなんかあるなー と思って迎えた金曜日、桃瀬さんは少し疲れている様子で元気がいつもの半分くらいに見えました。


桃瀬さんは社員数10~20人の中小のゲーム会社で仕事をされているプログラマーです。


話を聞くと、今かかわっているプロジェクトが大変なことになっており、会社の組織も危うくなっているとのことでした。


数か月前には順調に進んでいると聞いていたのに何があったのでしょうか。

 

突然パブリッシャーの方針が代わった

長丁場になることが予想できたので、少し駅から離れた場末の居酒屋に入り話を聞くことにしました。


守秘義務のためプロジェクトのタイトル名や対応ハード、ゲーム内容等は聞けませんでしたが、桃瀬さんの身に何が起きているのかを話してくれました。

 

この前会った時に順調に進んでいるとおっしゃってませんでしたっけ?

うーん、そうなんだけど、、、最近プロデューサーが変わってねー

へー、そんなタイミングで変わることもあるんですね。

いや、普通は無いけど普通じゃないことが起きた。俺はもうだめかもしれん・・・


話を聞くとプロジェクトが本格的に動き出したところで、突然パブリッシャーのプロデューサを担当されていた方が外れて、20代のゲーム制作経験が浅い方がプロデューサーになったとのことでした。

 
元のプロデューサーの方は後から聞いた話では会社を退社されたそうで、どうも引き継ぎなどが万全でない状態で新しいプロデューサが就任したようです。

 
まーここまでなら、人材の流動性の高い業界ではよくある事かもしれませんが、この新任プロデューサーは頻繁に仕様の変更や現場に口を出すため、現場で作業が停滞するようになりました。


さらに、新任プロデューサーはゲーム制作経験が浅いこともあり、何を変更するとどれくらいのコストがかかるかの見積もりが甘く、ゲームの根幹にかかわるような大きな変更を指示があり、作り直しが頻発してスケジュールが破綻しているとのことでした。

桃瀬さんは会社の上司に現状を何とかしてほしいとお願いしたそうですが、改善することは無かったそうです。

 
そんなある日、プロジェクトを揺るがす出来事がありました。


新任プロデューサーが開発メンバーを集めて、ゲームの方針の変更を指示したのです。

 

プロデューサーさん、開発メンバーを集めました。仕様の変更ですか?

仕様の変更というか、昨日「BASTARD!!」を読んだんだよね。すごく面白くてさー。あんな世界観のゲームにしてもらえない?

・・・えっと主人公のデザインのお話ですか?

いや、ゲーム全体の雰囲気を「BASTARD!!」みたいにしてほしい。



桃瀬さんのお話では、ほぼ作り直しを行うレベルの指示だったようです。

 

このプロデューサーの発言で現場の士気はがた落ちで、離職を考えるスタッフも出て、会社の存続を揺るがすことになったそうです。

問題の本質

もしパブリッシャーから潤沢な資金が出続けて、納得がいくまで作り直すのであれば、デベロッパーは資金面では問題はありません。

 

しかしそこで働くクリエイター個人は年単位で無駄な時間を過ごすことになります。


ゲーム業界ではまれに、業界歴5年だけどタイトルを1本も出せていないという人がいたりします。


それはその人の問題ではなく長年開発を続けていたプロジェクトが中止になり、タイトルが世に出ることが無かったということが2、3度続くとあり得る話です。


基本的にゲームクリエイター個人を評価する時に「何のタイトルに携わってきたか」というのは重視されがちです。


いくら腕の立つクリエイターでも「制作実績」が無ければ評価につながりません。


そのため、「あっ!このプロジェクトだめだなー」と感じたら見切りの良い人は早々と立ち去ります。

 
その日は場末の居酒屋で苦労話や愚痴を終電近くまで聞くことになりました。


世の中さまざまなパブリッシャーがありますが、今回の話で出てきたパブリッシャーは資金が有り余るほどあるのか、すごいお金の使い方と人の使い方をしてることに驚きました。

 

その後

その後どうなったかというと半年したあたりで桃瀬さんは会社を辞められました。

 

少し疲れたのでちょっと休んでから転職活動を始められるとのことで、しばらくゆっくりとされたようです。


百瀬さんはその後、同業他社に転職して元気にされています。

 


ゲーム業界は精神を病んで去っていく人が比較的多い業界ではありますが、その原因が他の業界から見るとちょっと考えられないようなことが原因だったりします。


ゲームの業界の厳しさはこういった問題も含まれているんだと思った出来事でした。

 

 

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