漫画のまとめ記事

おすすめの面白いファンタジー漫画 78作品!世界観が魅力なファンタジー漫画をまとめて紹介!【2024年版】

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■78作品を掲載!(2023年10月20日 更新)

みなさんファンタジーを題材にした漫画作品はお好きでしょうか?ファンタジー漫画は他のジャンルに比べて非常に解釈の幅が広くて様々な作品があります。

王道のファンタジー漫画から、奇をてらったファンタジー漫画まで様々ですが、どれも面白い作品が多く、他のカテゴリーに比べて安定している気がします。

本日は私が気になったファンタジー漫画をご紹介したいと思います。

【目次】

はじめに

当ブログでは漫画作品への感想を以下のようなレーダーチャートで表現しております。

レーダーチャートについての説明

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あくまで個人的な視点での感想ですが、ご参考にいただければと思います。10段階評価の平均を5としております。

レーダーチャートは2種類あり、共通の漫画レーダーチャートファンタジー漫画ジャンルのレーダーチャートと分けております。

単純に漫画の感想を知るには「共通漫画レーダーチャート」をご参考ください。

おすすめ漫画ランキング291作!感想/レビュー付きで絶対面白いマンガが見つかる【2024年版】 ■291作品を掲載!(2023年11月18日更新) 当ブログではこれまで様々な漫画の感想を書いてきましたが、その際にジャン...

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厳選!おすすめのファンタジー要素のある絶対面白い漫画のご紹介(全78作品)

レ・セルバン /濱田浩輔

タイトル:レ・セルバン
作者  :濱田浩輔
連載期間:2023年~
巻数  :既刊2巻

世界を滅ぼすほどの強大な力を持った邪竜により、国を喪った王と記憶を喪った娘が、歪な世界の秩序を取り戻すために復讐の旅に出る巨編ダークファンタジー漫画です。
主人公のアルノシエ・グランカマーノは”山裾の国”の封印の巫女の血を引く王妃ハンナ・グランカマーノの娘で、魔人を使役する血筋の持ち主です。
ある日、山裾の国は隣国であるイリア皇国の侵攻を受けた結果、母ハンナが殺害され、ハンナの力により封じられていた世界を滅ぼすほどの強大な力を持った邪竜の封印を解かれることになります。
そして、同時にアルノシエは母ハンナが持つ”思い出を喰う狂女”の魔人を引き継ぐことになり、”思い出を喰う狂女”の魔人の力を使って邪竜の動きを封じることに成功しました。
しかし、強大な力を持つ魔人”思い出を喰う狂女”を使役するためには、代償として忘れたくない大切な思い出を喪うことになり、アルノシエは邪竜の動きを封じる代償として父親との記憶をすべて失うことになります。
邪竜は動きを封じたものの生きており、またイリア皇国の王であるコントラーノⅡ世も生きていることから、母親の敵を討つために、父親として思い出がない山裾の国の王でセルバン・グランカマーノと復讐の旅に出ます。

この漫画は国を滅ぼされた王と姫の復讐を描いた作品で、細部までの描き込みが素晴らしく、名作「ベルセルク」を彷彿させるダークファンタジー作品だと言えます。
基本的な世界観は中世ヨーロッパ調のファンタジー世界ですが、ファンタジー作品としてのオリジナルの要素が大変多く、ゲームをされている方だ伝わると思うのですが、フロムソフトウェアの「エルデンリング」「ダークソウル」の世界観を感じさせる内容となっています。
そして、ダークファンタジーの世界観でありながら暗い雰囲気偏らないよう程度にバランスがとれた作品となっており、テンポよく読み進められ、緊迫感のあるストーリー展開が続き、迫力のある戦闘シーンなど、大変読み応えのある内容となっています。
硬派なファンタジー作品であることから、物語の説明が少々難解ですが、作者の作品に対する執念を感じる傑作ですので、是非ご覧ください。

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黄泉のツガイ /荒川弘

タイトル:黄泉のツガイ
作者  :荒川弘
連載期間:2022年~
巻数  :既刊5巻(2023年10月現在)

現代日本を舞台とした隔離された山奥の村で、特別な力を持つ双子の兄妹が主人公の伝承や妖怪変化の類をテーマにした和風ファンタジー漫画です。
主人公のユルは東村とよばれる山奥の村に住む狩人を営む少年で、夜と昼が等しい日に日の出を境に生まれた男女の双子の一人です。
東村ではこの日時に条件を満たし双子が生まれると、国が二分する大きな戦乱が起きるとの伝承がありました。
ユルの両親は10年前に双子を置き去りにして村から出て行方知らずとなっており、ユルは妹のアサと共に、村の有力者のもとで生活していました。
この双子は、世のあらゆるものを強制的に「とく」事が出来る「解」という力と、世のあらゆるものを強制的に「とじる」事が出来る「封」という対なる力を持つとされ、双子の力を利用したい者達に利用されるのを恐れ、東村は山奥に結界を貼って、外界と断絶した生活を送っていました。
しかし、ある日、東村の結界は外界から強制的に解かれ、侵入者を許すことになり、ユルは侵入者の一人で”アサ”を名乗る女性と対峙した際に、村にいたアサが偽物であることを告げられます。

この漫画の作者は「鋼の錬金術師」で有名な荒川弘で、物語の面白さだけではなく、世界観の設定やキャラクターの表現など一級品の漫画を描くことで定評があり、連載当初から話題に上がっている作品です。
物語としての展開が非常に早く、複数の組織や大勢の人物が所狭しと登場しますが、”誰が敵で誰が味方なのか?””誰が真実を語っているのか?””何が正義で何が悪なのか?”といった事が入り乱れた状態で物語が進むため、一読して全てを理解するのが難しい内容となっています。
ただ、これは作者が意図して表現している感じで、キャラクターの外観や人相で、敵なのか味方なのか判断がつかないようになっており、漫画としてステレオタイプな表現に一石を投じる挑戦的な作品に思えます。
何度も読み返す事で新しい気づきや発見がある漫画で、続きが気になる大変おすすめの漫画作品だと言えます。

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亡びの国の征服者~魔王は世界を征服するようです~ /原作.不手折家 漫画.錆狗村昌

タイトル:亡びの国の征服者~魔王は世界を征服するようです~
作者  :原作.不手折家 漫画.錆狗村昌
連載期間:2022年~
巻数  :既刊2巻

水難事故で命を失った日本人の青年が、異なる歴史を持つもう一つの地球に転生して、大陸の広域を支配する別種族との戦争に巻き込まれていく「戦記モノ×異世界転生×ファンタジー」作品です。
日本で生活を送っていた青年は、ある日、川に転落した子供を助ける為に命を落とし、異世界にて人類とは異なる種族である「シャン人」として新たな生を受け、シヤルタ王国の五大将家の一つであるホウ家の息子として育てられます。
両親からユーリと名づけられ、騎士としての立場から身を引いた父ルークの下で、穏やかな暮らしを送っていましたが、大陸の広域を支配する「クラ人」によって「シャン人」の国の多くが滅ぼされており、ルークの住むシヤルタ王国は「クラ人」との戦争状態が続いていました。
父でありホウ家の当主の弟であるルークは、兄が戦死したことから、新たな当主となったことから、息子であるユーリも次期当主としての立場から逃れることはできず、騎士としての道を歩むことなり、シヤルタ王国において騎士を養成する騎士院へ入学することとなります。

この漫画は、現代で暮らしていた日本人が、前世の記憶や知識を持ったまま、中世ヨーロッパ風の世界観で、別の歴史を歩むパラレルワールドの地球に転生する内容で、「シャン人」と呼ばれる人類ではない別の種族として転生する物語となっております。
作品ジャンルとしては「異世界転生」や「ファンタジー」要素が色濃い作品ですが、主人公が住む王国は、大陸を支配する別の種族からの侵略を受けており、「戦記物」としての色も持ちます。
物語の導入部はよくある「異世界転生モノ」の作品ですが、ご都合主義的な設定はほとんど無く、冒険ファンタジー作品でおなじみの「魔法」「ステータス」「レベル」「スキル」といった概念はない作品で、硬派なファンタジー物語となっています。
絵柄も硬派な作風で、心情やキャラクターの喜怒哀楽といった表現がしっかりと描かれており、独特の文化圏を細かく描写して表現するなど、読み進めることでどんどん面白くなる、人におすすめしやすい異世界ファンタジー作品となっています。

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狼は眠らない /原作.支援BIS 漫画.新川 権兵衛

タイトル:狼は眠らない
作者  :原作.支援BIS 漫画.新川 権兵衛
連載期間:2019年~
巻数  :既刊3巻(2020年10月)

魔獣と呼ばれる異形のモンスターが蔓延る世界で、冒険者として高みをめざしている主人公が別の異世界に移り冒険を続ける冒険ファンタジー漫画です。
主人公で冒険者のレカンは、同じく冒険者のボウドと共に”迷宮”と呼ばれるダンジョンに潜って魔獣を倒していたところ、偶然にも“黒穴”と呼ばれる異世界へ続く扉を見つけることになります。
黒穴は無数の迷宮のいずれかに数十年に一度だけ異世界に続く扉として開かれることが伝承として語り継がれており、レカンとボウドは幻の存在ともいえる黒穴を見つけたことになります。
冒険者たちの語り草では黒穴に入り生還した者は膨大な富や超人的な能力を授かるとされており、冒険者としてより高みを目指すレカンとボウドにとっては未知の異世界に続く扉とわかっていても迷う素振りも無しに黒穴に飛び込みました。
黒穴に飛び込んだレカンは気を失った後に、これまでの常識とは異なる世界の森で目覚め、生命探知の能力を使い魔獣を倒すことでこの世界でも冒険者としてやっていけることを確信します。
しかし、この世界の人間は魔力をほとんど持たないことや、レカンの世界の常識とは異なる魔法の仕組みや文化に四苦八苦しながら、現地の人間と接触して協力者や仲間を得て新たな冒険を続けます。

この漫画は異世界の住民が別の異世界に移り冒険を続けるというお話しで、世界をまたぐことで様々な常識が変化する中で、主人公が冒険者っとして成長していく様を描くファンタジー漫画となっています。
基本的には剣と魔法の王道ファンタジーの世界観ですが、登場するモンスターが「魔獣」と呼ばれるもので、モンスターデザインがありがちなドラゴンやゴブリンといったものではなく、かなり異形のオリジナルデザインとなっています。
レカンにとって異世界の住人である現地の人間から魔法や文化を学び、また逆にレカンの世界の魔法や技術を見せることでの文化交流が大変面白く描かれており、異世界転生ものの作風も感じられる内容となっています。
漫画作品として最近のファンタジー作品とは思えない硬派な絵柄とストーリーとなっており、純粋な王道冒険ファンタジー作品としてもっと注目を集めても良いと思える作品で、人にお勧めしやすい漫画と言えます。

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迷宮の王 /原作.支援BIS 漫画.K9

タイトル:迷宮の王
作者  :原作.支援BIS 漫画.K9
連載期間:2022年~
巻数  :既刊2巻(2022年6月)

迷宮から生れ落ちた一匹の魔獣であるミノタウロスが、本来は人間の冒険者にしか与えられない「神の恩寵」を得たことで、「モンスターは進化や継承をしない」という迷宮のルールを超えた存在となり、ひたすら強者を求めて迷宮を俳諧する「ファンタジー×バトル」漫画です。
主人公のミノタウロスは、サザードン迷宮の十階層の”ボス部屋”で、ありふれた1匹の魔獣として迷宮から生れ落ちます。
しかし、このミノタウロスは迷宮に生れ落ちて目覚めた瞬間から、力と強者を求める憤怒や憎悪にも似た激しい渇望を抱えていました。
そんな折、十階層のボスであるミノタウロスを単独で討伐して、クラス昇格を目論む冒険者があらわれて対峙し、ミノタウロスは重症を負うも冒険者を撃退して、ボス部屋から追い払います。
しかし、ミノタウロスの闘争本能は冒険者との戦いだけでは満足しなかったことから、本来の魔獣の特性や、迷宮のルールではありえない行動を起こし、十階層のボス部屋の外に出て、逃げ延びていた冒険者にとどめを刺します。
ミノタウロスは冒険者を倒したことで、本来は人間の冒険者にしか与えられない「神の恩寵」を得て、魔獣としてはありえない、”成長する特殊個体”となります。

この漫画はダンジョン(迷宮)を題材とした、小説が原作のコミカライズ作品で、主人公が人間の冒険者ではなく、ダンジョンで生まれた1匹のミノタウロスという、一風変わった作品です。
ミノタウロスは生れ落ちた瞬間から、強さを求めており、常に”闘い” に飢えているいる状態で、ダンジョンの深層部を目指す冒険者と対峙して、戦いの中で成長している物語となっています。
物語全体の構成は「ミノタウロスと冒険者たち戦い」となっており、モンスターであるミノタウロスの視点で描かれているところも多く、ダンジョンものの冒険ファンタジー漫画とは一線を画す構成となっています。
また、ストーリーは非常に硬派で、昨今の異世界転生もののご都合主義的なファンタジー漫画とは異なり、手に汗握るバトルを繰り広げる内容で、”ファンタジー漫画に一石を投じる異端作” とい言える内容となっています。
ファンタジー漫画の設定に飽きたという方や、一風変わった漫画を読みたいと考えている方にはおすすめのタイトルと言えます。

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アルマーク /原作.やまだのぼる 漫画.柚ノ木ヒヨト

タイトル:アルマーク
作者  :原作.やまだのぼる 漫画.柚ノ木ヒヨト
連載期間:2023年~
巻数  :既刊2巻(2023年8月)

傭兵の息子として北方の戦場に身を置いていた少年が、息子の成長を願う父との約束を果たすために、魔術師になるために一人南方にある魔法学院へ向けて旅に出る冒険ファンタジー漫画です。
主人公のアルマークは、精強を誇る傭兵団「黒狼騎兵団」の副団長であるレイズの息子として、父とともに戦場を変え各地を転々としながら幼少期を過ごしていました。
ある日、国境の緩衝地帯でひとり旅をしていた老人ヨーログが野盗に襲われていたところをレイズが助けます。
この老人は南方の大国である「ガイラ王国」のノルク魔法学園の学園長を勤めており、命を助けてくれたお礼をしたいと申し出ます。
レイズは男手ひとつで育ててきた息子が、将来傭兵としてではなく、一人で生きていくために知見を広げ成長を願い、魔法学園の生徒と受け入れてもらうようお願いをします。
ヨーログの見立ててでは、アルマークは魔術師としての才能を持っていることから、9歳になったら学園を訪れるよう伝え、その地を後にします。
しかし、その後は北方の情勢が悪化したことから、レイズは傭兵団を離れることが出来ず、
約束であった9歳の時期が過ぎ去ることになります。
そして、アルマーク11歳の夏、レイズはアルマークに勉強を積んで賢くなり、将来人を動かす立場になるよう説得し、一人「ガイラ王国」のノルク魔法学園に向かわせます。
アルマークは息子の成長を願う父との約束を果たすために、南の地にある魔法学院へ向けて、魔術師への第一歩を踏み出します。

この漫画は、原作が小説のコミカライズ作品で、剣と魔法が登場する王道ファンタジーの世界観がベースとなっており、人物像や世界設定などがよく練られています。
主人公が傭兵の息子ということもあり、戦場の厳しさや死生観などが描かれ、少年の成長譚をしっかりと表現するスタイルとなっています。
物語の展開はゆっくりですが、原作である小説版を余すことなくしっかりとコミカライズしており、原作ファンにとっては満足度の高いコミカライズ作品だと言えます。
絵が大変上手く、描き込まれた膨大な情報の作画でありながら、今風の表現で喜怒哀楽をしっかりと表現するなど、漫画作品として見た時の完成度が高く、巻数が進むにつれて盛り上がっていくことは間違いないかと思います。
奇を衒った設定は無いものの、一つ一つ丁寧に説明し描かれている作品で、王道ファンタジー設定の人におすすめしやすい漫画だと言えます。

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魔導の系譜 /原作.佐藤さくら 漫画.イヌヅカヒロ

タイトル:魔導の系譜
作者  :原作.佐藤さくら 漫画.イヌヅカヒロ
連載期間:2020年~
巻数  :既刊5巻(2023年8月)

魔法を使う魔導士が下賤な身分であり、不浄なものと虐げられる国を舞台とした、三流魔導士の指導者と、魔導士として強大な力を持つが扱えずにいる少年を描いたファンタジー漫画です。
レオン・ヴァーデンは魔導士を育成する私塾の指導者として弟子に指導を行っていますが、レオンは魔法を操る技術は長けているものの、魔導士としては力は弱く、三流以下の力しか持っていたないことから、ギルドや砦の魔導士として必要とされずにいました。
レオンが住む国”ラバルタ”は、魔法を使う魔導士が下賤な身分であり、不浄なものとして扱われており、「魔」をコントロールできることを証明して魔導士として認められて、初めて人として生きていくことができます。
ある日、砦の魔導士として活躍している弟子のダリエシがレオンの元を尋ね、相談を持ちかけるのですが、その内容は、ゼクスという少年を内弟子にとってほしいというものでした。
ゼクスは戦災孤児で、とてつもない魔導士としての才能があるものの、魔導の教育を拒絶して魔力の暴走を繰り返しており、育成は無理ということで処分を待つ状況でした。
ダリエシは、かつてレオンに受けた指導により、魔法を扱う「操魔」を学び、一流の魔導士に成長出来たことを重ねて、レオンにゼクスを救ってほしいと嘆願しに来たわけです。
レオンはダニエルの願いを聞き入れ、ゼクスを内弟子にしますが、万が一、ゼクスの魔力が暴走して村人を巻き込んでしまった場合、ただでさえ下賤な身分として虐げられているレオン自身が危うい状況になります。
レオンは、ゼクスの行動がきっかけで、村人からの迫害や憎悪が自身に向くことを恐れる中、内弟子との共同生活が始まります。

この漫画は魔法が使える魔導士が下賤でもので虐げられる存在という世界観となっており、魔法を扱うファンタジー漫画としては珍しい設定となっています。
魔法は力が強くて役立つことから、魔力をコントロールできるようになると、ギルドや砦の魔導士として、治安維持などの仕事に就くことができるのですが、魔導士としての力が弱かったり、魔法をしっかりとコントロール出来なければ、人として受け入れられません。
魔法に対する世界観や設定が良く練れた作品で、主人公たち魔導士を取り巻く環境や、魔法がどのように見られているかなど、よくある「剣と魔法もののファンタジー」の世界観とは少し違った雰囲気があります。
原作が小説で、本作はコミカライズ作品になることから、世界観や主人公を取り巻く環境などが細かく描かれているのですが、物語のテンポが漫画としては遅く、1巻ではプロローグ程度の内容となっており、今後ゼクスがどのように成長して、この世界にかかわりを持つようになりのか、物語の顛末が楽しみな作品となっています。

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戦奏教室 /原作.空もずく 漫画.十森ひごろ

タイトル:戦奏教室
作者  :原作.空もずく 漫画.十森ひごろ
連載期間:2022年~
巻数  :既刊4巻(2022年8月)

中世ヨーロッパ調の世界観を舞台とした作品で、戦場で兵士に号令を送るラッパ手を務める少年が特別な力を手にし、その力の源である「塔」の守護者として、塔を巡る争いに巻き込まれる軍記ファンタジー漫画です。
主人公の少年・リュカは生まれつき頭に”枝”が生えており、親に捨てられ、傭兵団の団長に拾われたことで、傭兵団の一員として戦場で育ち、少年兵としてラッパ手を勤めています。
ラッパ手とは指揮官からの号令を各兵士に伝える役目を持っており、正規軍の元、団長の用兵術をリュカがラッパで各兵士に伝えることで、傭兵団は戦果を挙げていました。
しかし、リュカは傭兵団に属しながらも戦場や戦争自体を嫌っており、いつかは傭兵団を抜けて楽師になる事を夢見ています。
リュカの生まれつき頭から生えた枝は“枝憑き”と呼ばれる超常の力を持つ証で、14歳になると枝が発芽して力に目覚めることから、領主である教皇から配下に加わるように促され、傭兵団を抜けて、教皇領と“枝憑き”の力の源である「塔」の守護者として、塔を巡る争いに巻き込まれることになります。

この漫画のジャンルは「ファンタジー」になりますが、世界観が中世ヨーロッパの百年戦争とよばれるイングランド王とフランス王の戦いがモチーフになっていることから、戦記モノとしての色が濃い作品となっています。
ラッパ手が活躍する弓兵、歩兵、騎兵といった兵士同士が戦う戦場で、戦場の描写や兵科の特徴などがしっかりと描かれていることから、軍記・戦記モノが好きな方にとっても、読み応えがある作品となっています。
ファンタジー作品であるものの「魔法」が表立って登場せず、代わりに“枝憑き”と呼ばれる超常の力が多数登場し、戦場でぶつかり合うことになります。
物語の中心人物である教皇や、“枝憑き”の力の源である「塔」の謎など、ミステリー要素も多く、今後の展開が楽しみな作品となっています。

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便利屋斎藤さん、異世界に行く /一智和智

タイトル:便利屋斎藤さん、異世界に行く
作者  :一智和智
連載期間:2019年~
巻数  :既刊7巻(2022年9月現在)

現在の日本で便利屋を生業としている青年が突如異世界に転移して、そこで出会った魔法使い、重戦士、妖精の3人の仲間と共にダンジョンを探索する「冒険ファンタジー×コメディー」漫画です。
主人公の斎藤(サイトウ)は、「鍵開け」「水道・電気工事」「鞄の修理」などの仕事をの委託を受ける職人とする便利屋でしたが、仕事の中で自分が必要とされている感覚が得られず、悶々とした思いを抱えたまま日々過ごしていました。
ある日、斎藤はトラックに跳ねられそうになったところで、突如異世界に転移するのですが、転移先に偶然出くわした魔法使い、重戦士、妖精の冒険パーティーと出会い、現世での鍵開けのノウハウを駆使して宝箱を開けたり、道具を直すスキル等を使って武具を修理する“便利屋”の経験を異世界で活かすことで活路を見出します。
斎藤はこれまで平々凡々と生きており、運動や勉強でも、そこそここなせて決して一番になれない普通の人間ですが、特別な特技はなくとも自分でできることを考えて、周囲を徹底敵にサポートすることで、仲間の中でかけがえのない存在となり、次第にパーティー全体が名声を挙げるようになります。
斎藤が異世界に来てからの生活は、危険も多いが非常に充実しており、鍵開けの腕を買われて、職業「盗賊」として他のパーティーメンバーと共にダンジョンを潜って日銭を稼ぐ冒険者としての生活に、現世では得られなかった充足感と、仲間から必要とされていることでの満足感を得ることになります。

この漫画はニコニコ静画などのWeb漫画サイトにて連載中の作品で、2019年より単行本化されており、2023年にはアニメ化される現在話題沸騰中の漫画です。
元はWeb漫画ということもあり、ショートショートのストーリーが続く展開でしたが、巻数が進むにつれて、世界観が広がって、物語の展開がどんどん面白くなっていきます。
物語の舞台は中世ヨーロッパ調で、剣と魔法が登場する王道の冒険ファンタジー作品と言えるのですが、コミカルな要素が強く、コメディー漫画として色が濃い作品と言えます。
そのため、コメディー要素とシリアスな要素が常に混在しており、落ち着きがないことから、読者を一定選ぶ作品とも言えます。
世界設定やキャラクターの設定が後付けでどんどん増えることから、物語構成が不自然に感じる所が多々ありますが、元はWeb漫画と考えて一定許容が必要な作品です。
この漫画で登場するキャラクターはどれも個性が強くて、また作品の規模から考えると登場人物が非常に多くて、アンバランスな感覚の作風ですが、巻数が進む中でそれぞれのキャラクターのつながりを上手く補正しており、今後の物語展開が非常に楽しみな漫画と言えます。

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魔女と騎士は生きのこる /原作.近本大 漫画.新川 権兵衛

タイトル:魔女と騎士は生きのこる
作者  :原作.近本大 漫画.新川 権兵衛
連載期間:2022年~
巻数  :既刊2巻(2022年12月)

領主の息子が狩りから1週間ぶりに村に戻って来たところ、魔女が住むという”禁忌の森”の呪いによって領民が全滅しており、魔女への復讐と、領地の復興を目指す領主を描いたファンタジー物語です。
主人公のアグレディオスはオーロメリウン辺境伯の長男で、騎士としての称号を持ち、領主の跡継ぎであるものの、狩りの腕ばかり磨く自由奔放な生活を送っていました。
ある日、”禁忌の森”の調査という名目で、長期の狩りから村に戻ってきたところ、村に人の気配が一切なく、人々が道端に倒れており、領主と領民を含む全員が呪いを受けて全滅していました。
アグレディオスは異常な事態に慄きつつも両親の遺体を調べたところ、父が死の間際にしたためた遺言により、1週間程前に”禁忌の森”に住む「魔女」が移動をしているとの報告を受けていたことや、魔女の呪いによって、領民が次々と死んでいることが記されていました。
そして、自身の死を悟った領主は息子であるアグレディオスに、生き残った領民を導くようにと領地を託します。
アグレディオスは領主からの遺言から領民の全滅の原因は魔女による呪いと考え、絶望を怒りで塗りつぶして、魔女への復讐のため森へと足を踏み入れます。

この漫画は小説家が原作を担当したコミカライズ作品で、原作者は硬派なファンタジー作品で定評のある、新川権兵衛となっています。
新川権兵衛のファンであれば作風が予想できると思うのですが、近年多く見かけるご都合主義的な「異世界転生×ファンタジー」作品とは異なり、時折コメディが差し込まれつつも、非常に硬派な作風となっています。
世界観としては中世ヨーロッパ調ですが、独特の文化圏となっており、「文化」「宗教」「風土」といった様々な設定が斬新で、こだわりが感じられる作品となっています。
主人公は復讐のために”禁忌の森”に入り、魔女と出会いますが、物語が進むことで領民の死の原因が魔女の呪いでは無かったことがわかります。
王朝は、オーロメリウンの開拓団の死は疫病と考え、周辺の村々と難民を焼き払う命令を下し、アグレディオスの元に住処を失った人々が次々と集まって来たことで、多くの問題を抱えることになりますが、同時に領地の再興にむけて動き始めます。
領地をゼロから復興していく様が面白く、魔法は登場するものの絶対的で便利なものとして表現されておらず、これまでにない硬派なファンタジー作品を探している方にお勧めの作品です。

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濁る瞳で何を願う ハイセルク戦記 /原作.トルトネン 漫画.斎藤八呑

タイトル:濁る瞳で何を願う ハイセルク戦記
作者  :原作.トルトネン 漫画.斎藤八呑
連載期間:2022年~
巻数  :既刊1巻(2022年11月)

サラリーマンとして平凡な人生を過ごしていた主人公が、死後に異世界に転生して、大きな志や希望を持たず、ただ日々食いつなぐために一兵卒として戦場を駆け巡る「戦記物×異世界転生×ダークファンタジー」漫画です。
主人公の高倉頼蔵(たかくららいぞう)は、サラリーマンとして平凡な人生を送っていましたが、ある朝出勤中に心筋梗塞によってその人生をあっけなく閉じます。
しかし、前世の記憶を持ったまま異世界で農家の三男として生を受け、”ウォルム”として第二の人生を歩み始めました。
ウォルムの住む「ハイセルク帝国」は常に隣国と戦争を行っていることから、国は荒れており、ウォルムの家庭は貧しく農業だけでは食べていけ無い状況でした。
その為、ウォルムは兵士となり軍から渡される支度金を家に入れる必要があり、家族の為、ハイセルク帝国の一兵卒として大きな志も希望もなく、ただ日々を食いつなぐために殺戮を生業とします。
日々続く殺伐とした戦場で人の命が塵芥よりも軽く扱われ、敵に殺されない為に殺すことが当たり前となっており、死線を潜り抜ける中でウォルムは徐々に兵士として成長し、強さを手に入れますが、代わりにウォルムの瞳は暗く、深く濁っていくことになります。

この漫画は小説が原作のコミカライズ作品で、小説投稿サイトである「小説家になろう」発の人気小説が元となっています。
世の多くの「異世界転生モノ」の作品は、異世界に転生することで特別な力を手に入れたり、現世での記憶を基として異世界に新たな文化を広めるといった形のご都合主義的なストーリーが大勢を占めています。
しかし、この作品ではそういったご都合主義的な展開が無く、主人公は平和な日本で過ごした前世の記憶とのギャップを常に感じつつ、戦場で「生き残るために人を殺す」という日々を繰り返す一人の兵士としての視点で描かれており、昨今の異世界転生モノの中では珍しく硬派な作風となっています。
戦場での戦いや描写が生々しく、戦記物として読み応えが十分で、異世界ファンタジー作品としては「剣と魔法」もしっかりと描かれていることや、この作品ならではの「魔力」の解釈といった内容も面白く注目すべき点と言えます。
重厚感のあるストーリーは三浦健太郎の代表作「ベルセルク」を彷彿させ、コミカライズ版は原作の小説よりも読みやすくするためなのか細部の描写を割愛しているため、漫画から小説に入っても十分楽しめる作品です。

小説版はこちらです。

異剣戦記ヴェルンディオ /七尾ナナキ

タイトル:異剣戦記ヴェルンディオ
作者  :七尾ナナキ
連載期間:2021年~
巻数  :既刊4巻(2023年4月現在)

「異剣」と呼ばれる特別な武器を持つ戦士が争う乱世で、傭兵を生業とする若者が己の力不足で夢破れた後、生き残る為に兵士が集う酒場を経営するファンタジー漫画です。
主人公のクレオは傭兵歴10年のベテランで山賊討伐の依頼を王国より受けましたが、己の力不足と山賊頭領の人間離れした強さに圧倒され、命からがらの逃避行を続けていました。
山賊の追っ手から逃亡の最中、コハクと名乗る亜人の少女と出会い、逃亡の手助けを受けるのですが、何故見返りもなく助けてくれる理由を尋ねたところ、コハクは「生き続けて欲しいから」と語りクレオが近い将来死ぬことを告げます。
クレオはコハクの言葉を信じませんでしたが、追ってきた山賊頭領とコハクの戦いの最中、流れ矢に逢い命を落とすことになります。
コハクはクレオの死の運命を知りつつ長い時間をかけて見つけた人物であったことから、
己の力を使いクレオを甦らせますが復活には時間が掛かり、クレオが目を覚ましたのは100年もの月日が経過した戦乱の時代でした。
この時代は「異剣」と呼ばれる特別な剣を持つ戦士が溢れており、いたるところが戦場となっている乱世の時代で、クレオはそんな過酷な時代を生き残る為と、自分が扱う事が出来る「異剣」を求めてコハクと兵士が集う酒場を経営することにします。

この漫画は「異剣」と呼ばれる特別な力を引き出せる古代の剣が溢れる時代で生き残る為に、元傭兵が自分でも扱える「異剣」を手に入れる為に兵士が集う酒場を経営するお話しです。
序盤ではどのような物語展開が続くのか、主人公やその仲間の目的は何なのか明らかになっておらず、非常に曖昧な印象を受けますが、作者である七尾ナナキはストーリーに定評がある漫画家で、前作の「Helck」では多くの読者が絶賛する隠れた名作となっています。
今作では「異剣」の存在が重要な役割を果たすわけですが、物語の序盤でその存在を簡単に語るだけに留めており、今後は亜人であるコハクの存在と、コハクがクレオを死の運命から抗っても生き残らせた理由等が明らかになっていきます。
物語の序盤だけでは作品の面白さを判断するのは難しいですが、個人的には作者である七尾ナナキのファンで今作「異剣戦記ヴェルンディオ」も期待しており、今後の展開が楽しみな漫画作品で、絵柄も一般受けしやすくて人に勧めしやすい漫画と言えます。

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ロメリア戦記~伯爵令嬢、魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織する~ /原作.有山リョウ 漫画.上戸亮

タイトル:ロメリア戦記~伯爵令嬢、魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織する~
作者  :原作.有山リョウ 漫画.上戸亮
連載期間:2021年~
巻数  :既刊2巻(2022年5月)

人類の敵である魔王を倒すために苦楽を共にしてきた勇者一行の一人である伯爵令嬢が、魔王を倒して凱旋する際に、勇者であり婚約者でもある王子から婚姻の破棄を宣言され、帰国後に辺境の地で魔王軍を迎え撃つために私設軍隊を組織する物語です。
主人公のロメリア・フォン・グラハムはライオネル王国の一地方を収めるグラハム伯爵の令嬢で、ライオネル王国の王子の婚約者でもありました。
10年前に魔王と魔族の軍勢が大陸に現れて以来、魔王軍が支配地域を広げる中、ライオネル王国にも戦火が迫り、王国の存続の危機であることから、王子自身が勇者として魔族が支配する地域に潜入して単身魔王討伐の旅に出ます。
ロメリアも王子の婚約者として旅に同行して、魔族の支配地域に潜伏して3年に及ぶ長い旅の果てに、魔王をうち果たすという目的を達成しました。
ロメリアは剣も魔法も治癒の力もありませんが、情報を集めたり兵站を確保するといった裏方として勇者一行の旅を支えていました。
勇者一行は魔王を討ち、いざ凱旋の為に帰国するというときに、婚約者である王子から、ロメリアが魔王討伐で戦力になっていたかったことを理由に婚姻の破棄を宣言されます。
ロメリアは帰国後も魔王軍の脅威が失われていないことを危惧し、将来を見据えて辺境地で私設の軍隊を組織します。

この漫画は「小説家になろう」で執筆されていた小説が原作の漫画作品となっており、設定などはほとんど変わりはありませんが、コミカライズ化する際にかなり大きく編集されています。
そのため、原作を読んでいない方にはいくつか物語の展開が分かりにくいところが多く、世界観やストーリーのバックボーンとなる重要なところが、かなり割愛されていることから、読者にとっては状況よくわからないところが散見しています。
コミカライズ版の読者として一番分からない「魔王を討伐したのになぜ魔王軍の脅威が続くのか?」というところについて、”勇者一行は魔王を暗殺により討伐した為、魔族の支配地域と軍組織はそのまま残っている”からなのですが、このあたりの説明が漫画では明確に語られていません。
そのほか、ロメリアの特別なスキルである『恩寵』についても、効果の制限などが語られていないことから、原作を読んでいない読者にとっては、よくわからない物語展開が続く為、コミカライズ化にあたって少々失敗しているように思えます。
ただ、物語全体としては知力と胆力で軍隊を組織して勝ち進み、立身出世する物語となっており、今後の展開が気になる作品と言えます。

小説版はこちらです。

ブラックナイトパレード /中村光

タイトル:ブラックナイトパレード
作者  :中村光
連載期間:2016年~
巻数  :既刊8巻(2023年2月現在)

何の取柄もなく就職活動に失敗してコンビニで3年間アルバイトしていた青年が高待遇で不思議で謎に満ちたサンタクロース企業に就職する「ミステリー×ファンタジー」漫画です。
主人公の日野三春(ひの みはる)は大学受験に失敗して、就職活動をするも上手くいかず、就職氷河期の煽りを受けて3年間コンビニでアルバイトを続けていました。
三春は困っている人を見捨てることが出来ない善良な性格の持ち主ですが、クリスマスの日にコンビニで働くトラブルメーカーの後輩のとばっちりを受けて、店長に理不尽な形で怒られた苛立ちから、廃棄予定のクリスマスケーキを万引きして自宅に持ち帰ります。
自宅前に着いたところ見慣れぬホルモン屋台があり、黒いサンタクロース姿をした屋台の店主に酒を飲みながら就職出来ない愚痴を漏らしていると、店主からは「クリスマスには赤いサンタと黒いサンタがやってきて、悪いことをした子供は黒いサンタに袋に詰めて攫われる」という話をされて、三春はサンタの袋に捕食されて気を失います。
見知らぬ部屋で目を覚まして混乱する三春の前に姿を現した黒いサンタクロース姿の男は、「手取りで30万、昇給ありの正社員」の高待遇で奇妙なサンタクロース企業に三春をスカウトします。

この漫画はサンタクロースをテーマにしたファンタジー漫画ですが、主人公である三春の生い立ちや、幼いころに交通事故で亡くなった父の存在等、様々な謎が少しずつ明らかになっていくミステリー漫画でもあります。
ただ、作者は「聖☆おにいさん」や「荒川アンダー ザ ブリッジ」の作者である”中村光”であることから物語の主軸はコメディ漫画となっており、不思議で奇妙な世界観はティム・バートン監督の「チャーリーとチョコレート工場」を彷彿させます。
物語が進む中で主人公を取り巻く様々な謎が明らかになっていく展開で、伏線を徐々に回収し、そして新たな不可思議な謎が生まれる展開は読み応えがあり、読み進めるにつれて面白さが増す「中村光ワールド」の神髄とも言えます。
漫画の魅力を文章で伝えにくい作品ですが、これまでに無いストーリー展開が続く作品なので、変わった漫画が読みたいという漫画好きの方にはおすすめです。

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葬送のフリーレン /原作.山田鐘人 漫画.アベツカサ

タイトル:葬送のフリーレン
作者  :原作.山田鐘人 漫画.アベツカサ
連載期間:2020年~
巻数  :既刊4巻(2021年5月現在)

魔王を倒した勇者一行の後日談が中心となったこれまでに無かった新しいタイプの物語で、様々な種族が集う世界ならではの物語構成が面白いファンタジー漫画です。
主人公で魔法使いのフリーレンは勇者ヒンメル、戦士アイゼン、僧侶ハイターと共に旅を経て、魔王を倒して世界に平和をもたらしました。
フリーレンはエルフ族でヒンメルとハイターは人族、アイゼンはドワーフ族と種族が異なるパーティーで10年にも及ぶ長い冒険を続けて魔王を倒すという偉業を成し遂げ、王都に凱旋して熱烈な歓迎受けます。
王都に凱旋したその日は50年に一度の「半世紀エーラ流星」が夜空を飾り、目的を達成した勇者一行はパーティーを解散しますが、フリーレンは50年後にもっと綺麗に流星が見れる場所に案内すると約束して王都を後にして魔法を収集する旅に出ます。
そして50年の月日が経ち、再び勇者一行は王都に集うのですが、人族のヒンメルとハイターは年老い、ドワーフ族のアイゼンも戦士として現役を引退していました。
フリーレン達は再び1週間という短い旅を経て流星群を観賞しますが、帰路についた後ヒンメルが天寿を全うすることになります。
ヒンメルの葬儀の場でフリーレンは自分が彼について何も知らず、知ろうともしなかったことに気付き、悔いて涙を流した事がきっかけでヒンメルに関心を抱くようになり、ヒンメルの痕跡を辿り人を知るための旅を始めます。

この漫画は長命種で1000年は生きるエルフと人族との関りを描く物語で、エルフと人族との人生における時間感覚の差が描かれているこれまでに無かったテーマを深堀した作品となっています。
フリーレンは魔法を集めることを目的として世界中を旅していますが、ヒンメルの死をきっかけに人を知るための旅を始め、やがて死者との会話が出来る魔法を求めて、かつての魔王城があった土地を目指します。
フリーレンはハイターの願いから人族の魔法使いであるフェルンを弟子に取り、ヒンメルの生涯を知る為に魔王を討伐した勇者一行の偉業や数々の功績を称える痕跡を辿りながら旅を続けて、これまで知らなかった人との関わり方を学んでいきます。
魔王を倒すした後から物語が始まる大変珍しいアプローチの漫画で、ファンタジー世界の住民である種族の違いをしっかりと描かれており、これまでに読んだ事が無かったような珍しい漫画を探している方にはおすすめの作品です。

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リオンクール戦記 / 原作.小倉ひろあき 漫画. Nagy

タイトル:リオンクール戦記
作者  :原作.小倉ひろあき 漫画. Nagy
連載期間:2020年~2023年
巻数  :全6巻

日本人で平凡な人生を送ってきた41歳のサラリーマンが病死して、中世ヨーロッパ風の異世界で王国建国の祖となる英雄として数奇な人生を描いた壮大な「異世界転生×ファンタジー×戦記」漫画です。
主人公の田中正(たなか だだし)日本に暮らし妻と二人の子供を持つ平凡なサラリーマンとして人生を歩んでいましたが、胃がんのため家族に看取られながら41歳の若さで命を落とします。
死後延々と暗闇に落ちていく感覚を経て気が付くと、”リオンクール”と呼ばれる見知らぬ土地で7歳児の貴族の次男として転生しており、バリアン・ド・リオンクールとして新たな生を受けることになりました。
バリアンの住むリオンクールは文化レベルが低く、貴族という高い身分ではあるが、決して裕福ではなく、藁のベッドに手づかみで食事をする文化レベルであるため、ちょっとした病気一つで命を落とす過酷な環境でした。
また周辺の国々とは争いが続く戦乱の時代の真っただ中で、政治的にも不安定な土地で暮らしていくことになります。
バリアンは日本人として生きてきた記憶を持つことから天才児として扱われ、争いが絶えない過酷な土地で、死んで元々という覚悟から生きられなくその日まで精一杯第二の人生を送ることを誓います。

この漫画は原作者である小倉ひろあきが「小説家になろう」で連載していたタイトルが、第六回ネット小説大賞を受賞したことで注目集め、『リオンクール戦記』としてタイトルが変更されたて出版された作品です。
異世界転生を物語のきっかけとして構成していますが、世界観はファンタジー要素は薄く、硬派な戦記物の様相を見せています。
良くある異世界転生ものの作品とは異なり「万能でご都合種の主人公のチート能力」というものが無く、主人公が7歳児として転生後に過酷で厳しい環境で成長していく様を丁寧に描いており、日本とはかけ離れたリオンクールと土地の文化や習慣がしっかりと描いていることから、今風の異世界転生漫画に比べて内容も深く読み応えがあります。
主人公は厳しいリオンクールの土地で生き残るために獣を狩る方法を学び、そして戦乱の時代を生き残るために奴隷や罪人を練習台に人を殺すための訓練を行います。、
やがて隣国の土地から牧童を殺し、家畜を奪って森に火を放つといった、生き残り死なないための過酷な経験を幼少時代から積み上げていく様は、昨今の異世界転生ものの作品からは一線を引く硬派な物語構成となっています。
残虐な描写がある作品で読者を選ぶかもしれませんが、「正義」とはその時代や文化の情勢で様変わりする深い政治的な様相も垣間見れて、今後の物語展開が大変楽しみな作品です。

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最果てのパラディン /原作.柳野かなた 漫画.奥橋睦

タイトル:最果てのパラディン
作者  :原作.柳野かなた 漫画.奥橋睦
連載期間:2018年~
巻数  :既刊11巻(2023年6月)

引きこもりの人生で後悔しながら死亡した主人公が、前世の記憶を持ち異世界で人間の赤子として転生して、アンデッドに育てられて成長する異世界転生×ファンタジー漫画です。
主人公の男性は現世で引きこもり生活を送り、自身の人生を後悔したまま死亡します。
死後、神の導きにより異世界にて人間の赤子として転生しますが、転生した街は廃墟で人の気配は無く、3人の不死者(アンデッド)である「ブラッド」「マリー」「ガス」に拾われます。
3人の不死者は生前は英雄として知られた人物で、約200年前に上王(ハイ・キング)と呼ばれる悪魔の王が世界に大乱を起こした際に、上王の討伐を行いましたが、上王を殺すには至らず、封印するのがやっとでした。
封印は完璧なものではなく、3人の寿命が尽きた時に再び上王が復活することを恐れ、ブラッド、マリー、ガスは不死神と契約を結び、自らを不死者となって上王が復活しないように見守る為に、その土地に留まります。
長年の月日が流れた後、下級の悪魔に上王の生贄として捧げられた人間の赤子を助けたブラッド、マリー、ガスは、赤子を”ウィリアム”と名付け、人間として生きていくための知識・武術・魔法を教えながら人の子として育てることになります。

この漫画は「小説家になろう」で連載は継続しているWeb小説が原作のコミカライズ作品で、物語の導入部はありがちな異世界転生を題材とした内容ですが、ファンタジー世界設定が非常に練られており、今注目されている異世界ファンタジー作品です。
物語の冒頭で世界を構成する神々の名前や神話が登場するなど、登場人物が少ないのに物語が少々複雑で、小説を読んだ上で漫画作品を読めばストーリーがすんなりと入って来ますが、漫画から読み始めると、理解に時間がかかる難易度が高い作品となっています。
異世界転生を題材としていますが、主人公が強大な力を持ち、あらゆる敵を無双するような陳腐なストーリーではなく、王道の冒険ファンタジー作品で、異世界を構成する神々の関係や、主人公を取り巻く人々や、それぞれに課せられた運命など、何度も繰り返して読み返すことで楽しめる奥深いストーリーが魅力です。
主人公が成長の過程で知る自身の生い立ちや心の揺らぎなどが丁寧に描かれており、非常に読み応えのある作品となっています。

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羽人 /宮尾行巳

タイトル:羽人
作者  :宮尾行巳
連載期間:2021年~
巻数  :既刊2巻(2021年12月現在)

古代中国にまつわる不老不死の術を次なる徳治者に与えて荒れた世を新たな夜明けに導く「羽人(うじん)」の伝説を描く歴史ファンタジー漫画です。
暁国の総大将である蒼風洪(そうふうこう)は暁国第16代皇帝の護衛の任務で巡幸に動向しており、1ヶ月をかけて暁国の北端の地までたどり着きます。
この巡幸の目的は表向きは辺境視察ですが、真の目的は年老いた皇帝が自身の寿命が近いことを悟り不老不死の伝説である「羽人(うじん)」を探すことでした。
蒼風洪は羽人は伝説上の生き物で皇帝の先は短いことから、ありもしない不老不死に縋ろうとしていると考え、皇帝の逝去が近いと判断して同行している次期皇帝の第一候補である皇太子の後ろ盾になるべく恩を売り込もうとしていました。
そんな中、皇帝一行は歓迎の宴が開かれている最中に蛮族の襲撃を受け、蒼風洪は皇帝と皇太子と共に命辛々脱出を図りますが追い詰められます。
もはや万事休すとなったところ、皇太子が皇帝の胸を刺して皇帝のもつ「宿命」を受け継ぐよう促し、皇帝は羽人に変化した後に皇太子に乗り移りました。
実は暁国は建国以来200年余り”羽人”としての力を代々受け継いでおり、皇帝から皇太子へと羽人の力が引き継がれ、皇太子は羽人の力を使い蛮族を撃退します。
蒼風洪はその「宿命を引き継ぐ」現場を見てしまったが為に、謀反を起こした罪人として冤罪をかけられ捉えられます。

この漫画は日本ではあまり馴染みのない古代中国の空想上の生き物である「羽人(うじん)」をテーマにしたファンタジー漫画となっています。
「羽人」とは厳しい修行を経て人の理から解き放たれた仙人が、さらに厳しい修行を積むことで身体に羽毛が生えて仙人の世界に登っていく”仙人の理から解き放たれた姿”と考えられており、「神山思想」として現代でも残っています。
日本ではファンタジーを題材にした作品の多くが中世ヨーロッパを題材にしており、ドラゴンやゴブリンといった生物が闊歩する世界観がメジャーですが、古代中国にも様々な伝説が存在し、羽人をテーマにした漫画は他の作品に無い珍しいものとなっています。
また、羽人はクリーチャーというより「思想」として信仰されていることから、古代中国の持つ歴史文化を垣間見ることができるので、珍しいファンタジー漫画を読んでみたいと考えている方には是非お勧めする作品です。

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シャドーハウス /ソウマトウ

タイトル:シャドーハウス
作者  :ソウマトウ
連載期間:2018年~
巻数  :既刊11巻(2022年7月現在)

人の姿をしているが真っ黒なシルエットで影のような顔が無い一族「シャドー」が、人間の姿をした「生き人形」を従えて貴族の真似事をする「ファンタジー×ミステリー・サスペンス」漫画です。
主人公の一人ケイトは人の姿をしているが全身が真っ黒なシルエット状の姿の貴族の真似事をする顔のない一族「シャドー」の一員で、生まれたばかりである為「お披露目」と呼ばれる成人への儀式を「シャドーハウス」の一室で待ちながら過ごしています。
もう一人の主人公のエミリコはそんなケイトのお付きとして働く顔が無い一族「シャドー」に仕える「生き人形」で、主人であるシャドーの身の回りの世話をするほかに、主人の代わりに「顔」として感情表現も行う役割を担っていました。
ケイトはエミリコと生活を送る中で「生き人形」はシャドー家の領地に点在する複数の村から集められた人間であることに気が付き、自身の存在やシャドーハウスに疑問を持つようになります。
ケイトは一族の秘密を調べている中で、シャドーハウスへの貢献により高い地位に進むと、生き人形にシャドーの人格を上書きする事を知り、盲目的にシャドー家に忠誠を誓う子供のシャドーと付き人の生き人形を開放する為に、エミリコにシャドーハウスの真実を伝えて共にシャドー家に対して抵抗することを決意します。

この漫画は基本的な世界観はファンタジーですが、物語は真っ黒なシルエットで影のような存在の顔が無い一族「シャドー」の不思議な存在の謎が明らかになっていく過程を楽しむミステリー・サスペンスの要素が強い作品です。
シャドーは何が目的で貴族の真似事をして領主として人間を支配しているのかが、シャドーハウスとその支配階級の存在など、様々な謎が次第に明らかになっていきます。
シャドーの存在が非常に独特でオリジナル性が高く、世界観や設定がよく練られた作品で、これまでに無かった新しい表現や面白さがあり、一つの謎が明らかになるとまた新たな謎が生まれてそれを解き明かしていく展開や、「シャドー」と「生き人形」の関係など丁重に伏線を回収する物語展開を見せるなど、ミステリー・サスペンスものが好きな方にはおすすめの作品と言えます。
雰囲気はティム・バートン監督の「チャーリーとチョコレート工場」を彷彿させ、観たことがない新たな世界観や雰囲気が楽しめる作品でもあるので、珍しくて新しい発見がある漫画を探している方は是非読んでみてください。

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ティアムーン帝国物語 ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~ /原作.餅月望  漫画.杜乃ミズ

タイトル:ティアムーン帝国物語 ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~
作者  :原作.餅月望  漫画.杜乃ミズ
連載期間:2019年~
巻数  :既刊6巻(2023年6月現在)

政治の腐敗により民衆の不満が元で革命が起きた結果国が崩壊し、3年間幽閉されて20歳で処刑される帝国の皇女が死後時間を遡り8年前に戻り再び人生をやり直すファンタジー×転生×SFと様々なジャンルが織り交ざった漫画です。
主人公のミーア・ルーナ・ティアムーンはティアムーン帝国の第1皇女として贅の限りを尽くした生活と自由奔放でわがままな性格から民衆や臣下から蔑まれ、17歳の時に民衆が発起した革命に近隣国が介入したこともあり、内戦が起きて帝国は崩壊します。
ミーアは逃亡時に捉えられて投獄され、3年後に民衆の見守る処刑場の広場で断頭台で首を落とされるですが、気付くと12歳の姿に戻っていました。
当初は長い悪夢をみていたと考えたミーアでしたが、古ぼけた日記帳が手元にあり、その日記は断頭台で処刑されるまでミーア自身が書いた内容で、帝国でこれから起こることや自分自身の身に起こる出来事が記載されていました。
12歳の自分に転生したミーアは2回目の人生を送ることになりましたが、斜陽の帝国の未来を救ったり民衆を飢饉から救うという崇高な考えは無く、我が身を安全第一に考えて
将来断頭台で処刑される運命を回避する為に仇敵を遠ざけ人脈作りに奔走します。

この漫画は皇女としての地位を利用してわがままし放題であった主人公が革命により処刑されますが、死後に8年前の自分自身に転生したことで人生をやり直すお話しです。
世界観としては中世ヨーロッパを基軸としたファンタジー漫画ですが、時間軸が含まれるSFタイムループ物の内容が含まれています。
ミーアは断頭台に送られて処刑される20歳までの未来を知っており、再びやり直した人生では前世の記憶を武器にして自身の運命に抗います。
ミーアの手元には処刑されるまで書いていた古ぼけた日記帳と、新しい日記帳があり、新しい日記帳に書いた内容が古ぼけた日記帳にも影響を与え、これからの未来で起こる出来事が書き換わって行きます。
ミーア自身が過去を変えても未来では別の問題が起こり、最後は断頭台に送られる運命となっていることから、前世の記憶から自身を処刑台に送ることになる人物との接触を避けて、処刑間際まで忠義を尽くしてくれた臣下を皇女の庇護下に置くことで身近なところから将来にわたり忠義を尽くしてくれる信頼がおける人物で固めます。
ミーアは将来破滅のしないように自身の保身の為に様々な行動を取った結果、自分の運命だけでなく帝国を初めとする周辺刻にも大きな影響を与えていくご都合主義的な展開が続く作品ですが、安定した面白さがあり今後の展開が気になる漫画です。

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呪術廻戦 /芥見下々

タイトル:呪術廻戦
作者  :芥見下々
連載期間:2018年~
巻数  :既刊22巻(2023年4月)

現在日本の東京を舞台とした人の持つ負の感情により生まれる化け物「呪霊」と呪術を使って祓う「呪術師」の戦いを描いたダークファンタジー×バトル漫画です。
主人公で高校生の虎杖悠仁(いたどり ゆうじ)は常人離れした身体能力の持ち主ですが、家庭の事情で運動部には所属せず、文化部である心霊現象研究部に所属していました。
ある日、育ての親である祖父が他界し、祖父は「オマエは強いから人を助けろ」という遺言を残します。
祖父が逝去した夜、呪術師として「呪物」回収をしていた伏黒恵と出会い、心霊現象研究部の活動で学校の百葉箱から見つけた「呪物」を渡すよう迫ります。
「呪物」の中身は心霊現象研究部の先輩が持っており、「呪物」の封印が解かれたことで先輩を助ける為に伏黒と共に学校に乗り込みますが、呪霊により返り討ちに逢い、虎杖は伏黒と先輩を助けるために、呪物である「宿儺の指」を食べて特級呪物・両面宿儺を自身に乗り移らせることで危機を脱します。
その後、虎杖は呪術師に捕らえられて死刑を宣告されるも「宿儺の器」として残され、「すべての特級呪物・両面宿儺の指を食してから死ぬ」という猶予が与えられ、呪術師を育てる東京都立呪術高等専門学校に転校することになります。

この漫画は週刊少年ジャンプで連載されていますが、ジャンプ漫画としては珍しくグロテスクな表現も含まれた作品となっています。
バトル漫画としての要素が強く、呪霊との戦いを描いたシーンが多いですが、物語のメインは「呪詛師」と呼ばれる”一般人を呪殺して罰せられた呪術師”と対立する組織との戦いとなっており、物語構成や組織の成り立ちなど、丁重に解説しながら進むストーリー展開は非常に読者を引き付けるものとなっています。
また、主人公の活躍を描く事よりも、脇役として登場するキャラクターへの描写が細かくて、脇役が魅力的な作品となっており、少年漫画として王道でありながら、新しい表現に挑戦している感じに好感が持てます。
グロテスクな表現がそれなりに含まれる作品ですが、集英社が「鬼滅の刃」に続くヒット漫画となる作品に育てようと推しており、アニメ化や映画化などが展開されて「令和のHUNTER×HUNTER」と称される人気作品となっています。

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魔女と野獣 /佐竹幸典

タイトル:魔女と野獣
作者  :佐竹幸典
連載期間:2016年~
巻数  :既刊10巻(2023年4月現在)

19世紀を彷彿させる世界を舞台にした魔女を探す魔術師と、魔女により呪いをかけられて姿を変えた者が世界各地を尋ね歩きながら魔女を追うファンタジー漫画です。
主人公の一人ギドはかつては壮大な力を持ち、人間の力を凌駕する存在であったが、「起源の魔女」の一人に呪いをかけられたことにより、力を失い魔女自身の姿に変えられます。
もう一人の主人公であるアシャフは魔響教団の魔術師として魔女を探して連れて帰る任務に就いており、「魔女を探す」という利害が一致したギドと共に魔女を追って世界中を尋ね歩いています。
ある日、魔女を英雄として崇拝する街の情報を聞きつけたギドとアシャフは、街の成り立ちや歴史を調べてた結果、魔女が不穏な動きをしている情報を見つけたことから、この街に住む魔女イオーネを捕らえようとします。
しかし遠い過去より現代に至るまで魔道の深淵に座す存在で魔道の頂点を極め現代を生きる魔女との力の差は歴然で、ギドとアシャフは圧倒的な力の前になす術もなく撃退されてることになります。

この漫画は19世紀初頭のヨーロッパを彷彿させる世界を舞台に、絶大な力を持つ17人の「起源の魔女」を追う魔響教団と、魔女の呪いによって姿を変えらて魔女に恨みを抱く者が共に魔女を追うファンタジー漫画です。
物語の設定や世界観がよく練られており、魔法の存在や魔術がありふれる世界の不思議な雰囲気を少しずつ明かしながら進むストーリー展開は読者を引き付け、読み進むにつれて物語に興味が湧く構成になっており、巻数が進むごとにどんどん面白くなっていきます。
また「起源の魔女」の存在や、それを追う魔響教団との関係や、魔女の呪いを受けて魔女自身の姿に変えられたギドの存在など、多くの謎を丁重に解説しながら伏線を回収しており、繰り返して読み返す事で新たな発見がある作品です。

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薬屋のひとりごと /原作.日向夏 漫画.ねこクラゲ

タイトル:薬屋のひとりごと
作者  :原作.日向夏 漫画.ねこクラゲ
連載期間:2017年~
巻数  :既刊11巻(2023年4月現在)

春秋戦国時代の中国を彷彿させる世界を舞台とした、後宮に勤める女官が王宮内で起きる事件を解き明かす歴史ファンタジー・ミステリー漫画です。
主人公で薬屋として働く少女 猫猫(マオマオ)は医師である養父と花街で働いていましたが、薬草採取で外出した際に人さらいに遭い、後宮務めの下級女官として売り飛ばされてしまいます。
後宮務めは年季が開ければ開放される為、猫猫は年季が明けるまで後宮に勤めるつもりでしたが、王宮で起きた皇子の衰弱死の事件で死因が毒であることに気が付き、それを匿名で訴えたところ後宮の管理を担当する宦官の目に留まることになります。
猫猫は下級女官の中で読み書きが出来ることや、薬師としての知識や鋭い観察眼を持っており、玉妃付きの侍女に抜擢されて後宮で起こる様々な出来事や事件に巻き込まれることになります。

この漫画は古代中国の春秋戦国時代を彷彿させる世界観ですが、しっかりとした時代には触れておらず、また国や地域も明言していないので、「歴史漫画」として見るとかなり不自然な設定が散見されます。
私は当初「歴史漫画」として読んでいたのですが、所々で不自然な描写があったため、途中から「ファンタジー漫画」として読むようにしたところ、スッと腹落ちする内容で理解が高まりました。
ファンタジー漫画といえば「西洋」をテーマにした作品が多いですが、この漫画は「東洋」をテーマにしており、舞台が王宮という新しいタイプのファンタジー作品と言えます。
物語のメインのテーマは「事件や謎を解き明かすミステリー作品」と言え、後宮で起こる様々な出来事や事件の謎を明かしていくのですが、奥深い謎解きではなく、ミステリー好きの方には少し物足りない内容かもしれません。
ですが、テンポよく展開するストーリーや個性あるキャラクターが大変魅力的で満足度が高く、「次にくるマンガ大賞 2019」の1位に選ばれています。

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ダンジョン・シェルパ 迷宮道先案内人 /原作.刀坂アキラ 漫画.加茂セイ

タイトル:ダンジョン・シェルパ 迷宮道先案内人
作者  :原作.刀坂アキラ 漫画.加茂セイ
連載期間:2020年~
巻数  :既刊7巻(2022年12月現在)

ダンジョン攻略を目的とした冒険者の道案内と荷物持ちを行い支援する「シェルパ」を生業とする主人公の活躍を描いた一風変わった冒険ファンタジー漫画です。
主人公のロウは地下五十階層以下にまで続く「タイロス迷宮」の傍の町で幼い妹と二人暮らしをしながら迷宮探索と攻略を目指す冒険者に道案内兼荷物持ちを行うシェルパを生業としています。
ロウは若輩ながらも腕の良いシェルパとして評判で、シェルパギルドからの信頼も厚いことから、ある日王都で勇名を馳せている勇者パーティー“宵闇の剣”からタイロス迷宮の攻略の為の迷宮道先案内人として依頼が舞い込んできます。
これまで確認されているタイロス迷宮の深さは地下四十七階層で、予想される最深部は五十三層とされており、四十七階層から先は地図どころか情報が何もありません。
非常に難しい依頼であるものの、シェルパとして名誉な仕事を依頼されたロウは、これまで誰も到達したことがないタイロス迷宮の前人未到の地である最深部に勇者一行を導くことになります。

この漫画はダンジョンを舞台とした冒険物語ですが、主人公はダンジョン攻略を目指す冒険者ではなく、冒険者にダンジョンの道案内をしたり荷物持ちといった支援を行う「シェルパ」を生業としています。
多くのダンジョンを題材にした作品では冒険者自身がダンジョン攻略の為の情報を集めて、そうした行為もダンジョン攻略の一端としていますが、この作品ではダンジョン攻略の為の情報をギルドが組織として売買しており、主人公はその”シェルパギルド”の一員として扱われています。
シェルパの役割は道案内や荷物運びだけでなく、ダンジョン内に群生する薬草を調合して薬を冒険者に提供するなど、一般的な冒険ファンタジー作品で言うところの「冒険者に随伴する商人」と例えると分かりやすいのではないでしょうか。
シェルパは戦闘能力がない為、モンスターと遭遇すると戦闘に参加せず、巻き込まれないように物陰に隠れ、時にはシェルパを冒険者パーティが守るなど、これまでの多くの冒険ファンタジー作品には無かった設定が非常に新鮮です。
序盤は盛り上がりに欠けますが、ストーリーが進むについて面白くなっていく作品で、一風変わった冒険ファンタジー作品を探している方にはおすすめの漫画です。

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化物語 /原作.西尾維新 漫画.大暮維人

タイトル:化物語
作者  :原作.西尾維新 漫画.大暮維人
連載期間:2018年~
巻数  :既刊19巻(2022年4月現在)

日本の田舎町を舞台とした怪異に関わる出来事をメインとしたストーリーで、主人公と周囲の人々が怪異にまつわる事件を解決していく青春ファンタジー漫画です。
主人公で高校生の阿良々木暦は、春休み日本の田舎町で吸血鬼と出会ったことで、人間ではなくなりますが、その後協力者のおかげで再び人間としての生活を取り戻します。
その後、普通の高校生活を送っていましたが、5月のある日、ひょんなことから2年ほど会話すらしたことがないクラスメイトである戦場ヶ原ひたぎの秘密を知ることになります。
ひたぎにはおおよそ体重と呼べるものがほとんど無く、彼女の話では2年前に1匹の不思議な「蟹」に出会ったことで、彼女の「重さ」を根こそぎ持っていかれたとのことで、彼女の体重は平均的な体格にもかかわらず5kgしかありませんでした。
暦は春休みに遭遇した怪異との事件を解決した忍野メメという怪異の類の専門家を頼り、ひたぎの問題を解決するために奔走します。

この漫画は小説家の西尾維新が原作の「化物語シリーズ」を大暮維人がコミカライズした作品で、巨匠同士がタッグを組んだ大作です。
化物語シリーズはアニメが有名な作品で、これまで多くのアニメシリーズが放送されており、原作よりもアニメの方が多くの方に認知されています。
漫画版は原作とアニメ版の間ぐらいの仕上がりといった感じで、個人的には原作にあった「言葉遊び」が分かりやすく表現されているのがポイントが高いです。
アニメ版では文字に起こされずセリフで収まっていたことで伝わりにくかった表現が、漫画というメディアになったことで文字に起こされ、アニメファンから見ると「ああ、こういう表現だったんだ!」というアニメではわかりにくかったところが補完されています。
その為、アニメファンは漫画版を読むことで新たな発見がありますし、原作ファンも良い意味でアレンジが加わったキャラクター描写が楽しめる作品に仕上がっているので、従来の「化物語シリーズ」のファンを再度取り込むような作品となっています。

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シャングリラ・フロンティア~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~ /原作. 硬梨菜基 漫画.不二涼介

タイトル:シャングリラ・フロンティア~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~
作者  :原作. 硬梨菜基 漫画.不二涼介
連載期間:2020年~
巻数  :既刊12巻(2023年4月現在)

VRゲームの進化版である「フルダイブ型VRゲーム」が一般的になった近未来の日本を舞台にした物語で、「シャングリラ・フロンティア」と呼ばれるゲームを攻略する「SF×ファンタジー」漫画です。
主人公で高校生の陽務楽郎(ひづとめ らくろう)はゲームを趣味とする少年で、フルダイブ型VRゲームが主流となったことで映像技術が向上したがシステム面が不十分のゲームである、いわゆる「クソゲー」をこよなく愛しており、クソゲーの攻略に情熱を注いでいました。
通常であれば「クソゲー」は忌み嫌われるものですが、楽郎はこうしたゲームを嬉々として求めており、理不尽なゲームシステムやバグによる進行の妨害といったものを攻略することでのカタルシスを楽しんでいます。
ある日伝説のクソゲーをクリアしたことから新しいクソゲーを探しにゲームショップに訪れたところ、店主からクソゲーの対極に位置する文句なしの良質で良くできたゲームで、いわゆる「神ゲー」と評価されるフルダイブVRゲーム「シャングリラ・フロンティア」を勧められます。
シャングリラ・フロンティアはサービスが開始されて1年が経過し、登録者数が3000万人という大規模MMOゲームですが、ワールドストーリーの進行度は未だに0%となっており、楽郎はこのゲームをクリアするためにシャングリラ・フロンティアの世界に足を踏み入れます。

この漫画は「フルダイブ型VRゲーム」の普及により、ゲームの世界に自由に出入り出来るようになった近未来の日本が舞台となっています。
その為、「フルダイブ型VRゲーム」を使う事で好きなゲームの世界に入り込める事が出来るので、漫画での主人公の描写や世界観がころころと変化する内容となっています。
ただ、物語の物語の中で説明が分かりやすく語られていることから、特に混乱することもなく読み進める事が出来ます。
ゲーム特有の専門的案用語がかなり多く飛び出してくるため、ゲームの世界に疎い方には少々わからない点が見受けられるかと思いますが、冒険ファンタジーとしては非常に面白く、「自由に現実に戻れる異世界転生もの」の作品として見れば違和感なく読み進める事が出来ます。
絵柄も見やすくて物語の進行も非常に良いことから、テンポよく読み進められる今後が楽しみな作品です。

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真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました /原作.ざっぽん 漫画.池野雅博

タイトル:真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました
作者  :原作.ざっぽん 漫画.池野雅博
連載期間:2018年~
巻数  :既刊10巻(2022年12月現在)

「加護」と呼ばれる神から与えられた能力が大きな意味を持つ世界で、勇者と共に魔王軍と戦ってきた冒険者がパーティーから追い出されて田舎の辺境地でスローライフを送る冒険×ファンタジー漫画です。
主人公のギデオン・ラグナソンは「導き手」と呼ばれる基礎レベルが高いめずらしい”加護”を持ち、勇者やその仲間の成長を手助けする立場として、勇者と共に魔王軍と戦っていました。
やがて勇者とその仲間は成長して強大な力を持つようになると、戦闘関連のスキルを持たないギデオンはパーティの中で力不足の存在となり、「君は真の仲間じゃない」との宣言を受けて勇者のパーティーから追放されます。
苦楽を共にした仲間から思わぬ宣言にショックを受けたギデオンは、”実力不足で追い出されたわけではなく自ら身を引いた”という体裁にして面目を保つために、一部のパーティーメンバーには別れを告げず行方をくらまします。
その後、ギデオンは「レッド」と名乗り、田舎の辺境地で勇者と共に魔王軍と戦った英雄としての過去を捨て去り、どこにでもいる一般人として生活を始めます。
ギデオンはこれまで培った知識と経験を頼りに低級冒険者として薬草の採取の依頼をこなしつつ、薬草採取で貯めた資金を元に薬屋を開店してスローライフを満喫していました。
しかし理想的なスローライフは長続きはせず、ギデオンの元に英雄の称号を持つリットがやってきたことで穏やかな生活が一変することになります。

この漫画は魔王軍の進行により国土の半分が失われた国に生まれた勇者とその仲間たちの成長を手助けするサポート役の冒険者が、勇者とその仲間が成長した結果、勇者パーティーの中で力不足の存在となりパーティーから追放されて隠居生活を送る物語です。
舞台は剣と魔法の王道ファンタジーですが、「加護」と呼ばれる生まれ持つ力が大きく影響を持つ世界設定となっており、加護次第でその人物の能力が大きく左右されるだけではなく、加護により人格も影響を受ける他に類を見ない設定となっています。
小説が原作のコミカライズ作品である為、タイトル名が非常に長く、タイトルを見ればだいたいどのようなストーリーなのか分かってしまいますが、こうした長いタイトル名の傾向は最近流行りライトノベル作品特有のものとなっています。
異世界転生をテーマにしたライトノベル作品のブームが一服した後、「英雄として活躍した過去を捨て去り、一般人として穏やかに過ごそうとするが世間がそれを許してくれずに、再び表舞台に出る。」というテーマの作品が増えており、「元英雄系」ジャンルの走り出しのともいえる作品で安定した面白さがあるので、是非一度読んでみてください。

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太陽と月の鋼 /松浦 だるま

タイトル:太陽と月の鋼
作者  :松浦 だるま
連載期間:2020年~
巻数  :既刊4巻(2022年5月)

刃物を含めてあらゆる金属に触れることが出来ない不思議な力を持つ下級武士の元に、突然嫁いできた異様に美しい嫁と、その後に現れる”呪”の力を持つ陰陽師達との争いを描いた「歴史×ファンタジー」漫画です。
主人公で下級武士の竜土鋼之助は4年前まで江戸市中の警備である大番勤務に就いていましたが、武士でありながら「刃が怖い」という理由でお役御免となり、食うにも困る困窮した生活を送っていました。
鋼之助はあらゆる金属にふれることが出来ない特異体質の持ち主で、武家の長男として生まれ、幼少のことから立派な武士になるために努力をしてきましたが、あらゆる金属が触れる前に捻じ曲がる原因不明の力が仇となり、母親が暴漢に斬られた際に助けることが出来ず、「自分が刀を握れたら母を助けることができた」と、後悔の念を抱きながら生きながらえていました。
ある日、鋼之助は「刀が怖い」ことを馬鹿にしてきた武士たちと争いになり、一方的にやられて川に討ち捨てられ、沈みゆく中で死を覚悟しますが、意識を取り戻すと自宅に戻っていました。
わけが分からず思考を巡らせていたところ、見知らぬ老人が訪ねてきて、鋼之助に縁談の書面と支度金100両を手渡します。
突然の訪問者と不可解な縁談に混乱する鋼之助でしたが、明日もわからぬ貧しさに結婚を承諾し、鋼之助の元に異様なほど美しい娘、月が嫁いできます。

この漫画は物語の舞台が江戸時代の後期となっており、下級武士は生活に困窮することも珍しくない時代で、その時代の文化の特徴や、江戸で暮らす民の様子などがしっかりと描かれています。
主人公である鋼之助は幼少の頃より、あらゆる金属に触れることが出来ない不思議な力を持っており、なぜそのような力を持っているのかは明らかにならないまま、武士として奉公していたところ、突然降って湧いてきた不可思議な縁談で嫁、月を迎え入れます。
ただ、その嫁も正体がわからぬ謎の存在で、鋼之助は当初は訝しみながらも様子を見ていましたが、献身的にかいがいしく鋼之助に仕える姿に、やがて打ち解けていきます。
しかし、月を連れ戻そうとする陰陽師との争いになり、月は攫われることとなり、鋼之助は月を連れ戻すために人知を超えた力を持つ者たちとの争いを選びます。
鋼之助の持つ不可思議な力と、なぜ鋼之助の元に異様なほど美しい娘が嫁いできたかなどの謎が次第に明らかになっていくミステリー要素もある作品となっています。
絵柄が特徴的で読みやすく、キャラクターの喜怒哀楽もしっかりと描かれており、表紙などのカラーページが特別魅力的で、今後の展開が気になる漫画作品です。

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片田舎のおっさん、剣聖になる ~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~ /原作. 佐賀崎しげる 鍋島テツヒロ 漫画.乍藤和樹

タイトル:片田舎のおっさん、剣聖になる ~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~
作者  :原作. 佐賀崎しげる 鍋島テツヒロ 漫画.乍藤和樹
連載期間:2022年~
巻数  :既刊2巻(2022年7月)

片田舎の村で細々と剣術道場を営み、護身程度の剣を教えているつもりの年を食った中年剣士には多くの弟子がいますが、大成した弟子達と再開し、本来王国一の剣士がその役を務める騎士団指南役に任命されて成り上っていくファンタジー漫画です。
主人公のベリル・ガーデナントの父親は剣術道場を営み、ベリル自身も幼いころから剣に触れて育ち、ゆくゆくは騎士や冒険者になって身を立て、その剣で多くの人々を助けることを夢見てきました。
しかし現実は厳しく、ベリルは父が営む剣術道場を引継ぎ、片田舎で剣術師範として、護身程度の剣を教えるしがない年を食った中年剣士として、大成出来ずにくすぶっている現実を「俺には身の丈が合っている。」と受け入れていました。
そんな折、弟子の一人で剣士として大成して大陸に名を轟かせて王国直属のレベリオ騎士団団長まで上り詰めたアリューシア・シトラスがベリルの道場を訪れます。
久しぶりの弟子との再開にベルリは近況を尋ねたところ、アリューシアは現在騎士の指導と育成を担う騎士団の指南役として活躍している話を聞いて、弟子の成長を喜んでいたところ、アリューシアはベリルを特別指南役として迎え入れる為にわざわざ訪ねてきた告げます。
ベリルはこの話に驚くも、国王の令状を携えたアリューシアには抗えず、一塊の片田舎の剣術道場の師範で、しがないさえない中年のおっさんが、王国直属の騎士団の指南役として突然従事することになります。

この漫画は中世ヨーロッパ調の剣と魔法のファンタジー世界が舞台のよくよくありふれた世界観ですが、主人公が大成せずに年を食った”さえないおっさん”という設定の小説が原作のコミカライズ作品です。
ベリルは剣術道場を営み、剣で身を立ててはいますが、自身の評価が非常に低くて、自身の剣の腕前では片田舎の村で護身程度にしか教えていないと考えており、またそうした自身を「俺には身の丈に合っている。」と受け入れていました。
しかし、ベリルの教え子である弟子達は、王国のみならず大陸でも知らないものはいない名だたる騎士や冒険者となって活躍しており、もはや「英雄」として語られる存在にまでなっていました。
その弟子の一人であるアリューシアは、ベリルが片田舎のしがない剣士の一人として人知れず埋もれていくことがたまらなく悔しい思い、ベリルに相応しい舞台を用意する為だけに騎士を志し、王国最強の騎士団で功績をあげたてレベリオ騎士団団長まで上り詰め、権力を使って半ば強引にベリルを王国直属のレベリオ騎士団の特別指南役に任命します。
ベリルは自己評価が低いだけで剣の腕前は本物で、名だたる騎士が足元にも及ばない実力の持ち主であり、真の実力があるにもかかわらず、片田舎でくすぶっていたおっさんが、本物の”剣聖”として名を轟かせて成りあがり、立身出世していく物語となっています。

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ネクストライフ /原作. 相野仁 漫画.市倉とかげ

タイトル:ネクストライフ
作者  :原作. 相野仁 漫画.市倉とかげ
連載期間:2017年~
巻数  :既刊7巻(2022年12月現在)

山岳部の登山中に吹雪に逢い遭難して命を落とした若者が、生前ハマっていたゲームの世界に高位の魔法使いとして転生して冒険を始める異世界転生ファンタジー漫画です。
主人公の山田隆司は山岳部の合宿中に不運にも雪山で命を落としますが、気が付くと見知らぬ森で目を覚まします。
隆司は天国に着いたと勘違いしつつ自身をよくよく観察すると、生前ハマっていたMMORPGのアバターにそっくりであった為、自身がゲームの中の世界にいることを疑います。
ただ、自身の能力やゲームの世界には無かった法則など、知っているゲームの世界観ではないことも散見され混乱している中、1人の少女と出会います。
少女はアネットと名乗り、オークのデュランとコボルトのベンを仲間に森に住んでおり、隆司はマリウスと名乗り行動を共にして、共同生活を送る中で異世界の言葉を覚えます。
仲間として意識されるようになったマリウスはデュランからアネットは”モンスターテイマー”としての力を持っており、モンスターと意思疎通が出来るだけでなく使役することも出来ることから領主に追われている事を告げられます。

この漫画は「小説家になろう」で人気の小説が原作のコミカライズ作品で、漫画版になる際にアレンジが加えられています。
ストーリーは主人公が転生した異世界で無双する”異世界転生もの”でありがちなご都合主義的なパターンですが、「小説家になろう」系では許せる範囲でと言えます。
キャラクタービジュアルなどは普通なのですが、背景描写が今一つで、世界観が微妙に伝わらないところがあり、漫画としては珍しくセリフを追う必要があります。
物語構成は様々な種族や魔法が存在する王道ファンタジーで特段珍しくはありませんが、主人公と行動を共にする少女アネットの持つ”モンスターテイマー”の能力が物語の重要なキーとなっており、モンスターとの意思疎通を行う点で多くの異世界転生を題材にした作品の中で埋もれず支持されています。
背景描写は今一つですがキャラクターはしっかりと描かれており、今後のストーリーの展開が楽しみな作品の一つです。

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辺境の老騎士 バルド・ローエン /原作.支援BIS 漫画.菊石森生

タイトル:辺境の老騎士 バルド・ローエン
作者  :原作.支援BIS 漫画.菊石森生
連載期間:2017年~
巻数  :既刊9巻(2022年12月)

数々の戦場で武勲を挙げてきた騎士がやがて老い、地位や名誉も捨てて死に場所を求めて一人旅をするお話で、旅先でいざこざに巻き込まれつつも解決していく王道ファンタジー漫画です。
主人公で老騎士であるバルド・ローエンは長年の間「大障壁」と呼ばれる魔獣の脅威から守られる壁の唯一の切れ目を魔獣から守り、そして隣国との争いでも不敗の騎士として活躍してきました。
やがてバルドも年老い、若い騎士を育成する身となりますが、バルトのこれまでの武勲が大きすぎるため、近隣諸国はバルトという駒を利用して領地争いを始めることになります。
バルドは領主であるテルシア家に迷惑をかけないために、地位も名誉も全てを捨て去り、死に場所を探す旅路を始めますが、辺境の大領主コエンデラ家が引き起こす争いにいつの間にか巻き込まれてしまいます。

この漫画は王道ファンタジーの世界観がしっかりと描かれており、一人の老騎士を取り巻く環境で起きる様々な出来事を描いたファンタジー漫画です。
老人が主人公というのも珍しく、他領とのいざこざに領主が脅かされない為にも、自身が引退を決意して、死に場所を求めて目的のない旅を始めます。
バルトは旅先で様々な人で出会い、いざこざに巻き込まれつつも解決していくというのが物語の骨子となっており、非常に面白い展開が続きます。
また、この漫画では食事に強いこだわりがあり、料理のシーンが細かく描写されているのも魅力で、グルメ料理としても楽しめます。
丁重な作画でキャラクターに大変魅力があり、物語の結末が気になる漫画です。

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惑わない星 /石川雅之

タイトル:惑わない星
作者  :石川雅之
連載期間:2015年~
巻数  :既刊6巻(2021年5月)

地球環境が破壊されて終末を迎えようとしている人類に地球自身が助けを求めて、擬人化した惑星や恒星と協力しながら地球を救うSFファンタジー漫画です。
主人公のS沢3国は文明が衰退して過去の遺物に頼り進歩を止めた”日本”に暮らす若者で、”内”と呼ばれる環境が安定した居住区に住み、”外”と呼ばれる外界と接した天文台跡地で宇宙に手紙を送る仕事をしています。
S沢は宇宙に手紙を送ることは無駄だと思いつつも、仕事をして食べていくために毎日宇宙に向けて手紙を送り続けていました。
そんなある日、人が生身で歩けるはずもない外界から1人の女性がS沢を尋ねて来て、宇宙の指定座標に向けて手紙を送る事を依頼した後に意識を失います。
S沢は女性の正体について不審に思いつつも保護して、宇宙の指定座標に向けて手紙を送ったところ、次々と生身で歩けるはずもない外界から人が訪ねてくるようになります。
S沢は混乱するも彼女達が何者であるかを尋ねたところ、惑星が人の姿に変えて手紙に応じて地球を助けに来たと説明されます。
最初にS沢の下に訪れた女性は「地球」で、助けを求め宇宙の星々に手紙を送った結果、太陽系の惑星が人の姿に変わり次々とS沢の下に尋ねて来ることになります。

この漫画は「擬人化した星」が人類と協力しながら終末を迎えようとしている地球を救う為に協力するという、かなりぶっ飛んだ設定の漫画となっています。
作者の石川雅之は細菌を擬人化した「もやしもん」という漫画で有名ですが、着眼点が面白い漫画家で、今作では「星」を擬人化のテーマとしています。
石川雅之特有の解説三昧で文字が多い漫画ですが、しっかりと物理学・天文学を調べたうえで読者に大変分かりやすく解説しており、知識欲が刺激される大変面白い構成となっています。
難しい事が嫌いな方や物理学や天文学に興味がない方にとってはつまらない漫画と感じるかもしれませんが、逆に理系の考えや知識欲がある方にとってはこの上なく面白い漫画で、評価が真っ二つに分かれる作品だと思います。
その為、物理学や天文学に興味がある方には間違いなくおすすめできる作品で、学習漫画としても大変面白くて新たな発見がある一度は手に取って欲しい漫画です。

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よふかしのうた /コトヤマ

タイトル:よふかしのうた
作者  :コトヤマ
連載期間:2019年~
巻数  :既刊15巻(2023年4月)

学校に行くことがめんどくさくなり不登校になった少年が夜の街を徘徊していたところ出会った吸血鬼の少女とのコミュニケーションを描く青春ファンタジーコメディ漫画です。
主人公で中学2年生の夜守コウは、学校生活はうまくいっていると自負していたのですが、些細な事から人間関係でトラブルを持ち、突然何もかも嫌になって学校に行くのをやめてしまいます。
学校に行かなくなったことで家に引きこもるようになり、結果として体力を使わないことから夜に眠れなくなり、夜の街を一人で徘徊するようになります。
夜の街は自由で一人で好きに歩き回れることから、コウは居場所を見つけたような安心感を持ちますが、そんなコウの前に眠れなくて困っている人の相談や悩みを解決しているという七草ナズナという少女が現れます。
ナズナは不思議な雰囲気を持ち「カウセリング」と称してコウを自宅に誘いますが、少女の正体は吸血鬼で、コウの血を吸うことを目的としていました。

この漫画は中学生の少年の日常の中に突如現れた吸血鬼との関わりを面白おかしく描いた「青春×ファンタジー×コメディ」と様々な要素を持つ物語となっています。
ストーリーの中で思春期の中学生が抱えがちな悩みを描写しており、主人公がどうして不登校になり夜の街を徘徊するようになったのか、端的ながらも共感しやすい内容で描かれています。
中学生の視点での「夜の街」に対する魅力や、自由を謳歌する事への冒険心といった誰もが持つ思春期の記憶を思い出させてくれる展開から、吸血鬼の少女との出会いというファンタジーな展開に広がります。
ただ、この作品で登場する吸血鬼は、血を吸われたからといって直ぐに眷属になるわけではなく、ファンタジー要素が非常に低く抑えられ、吸血鬼である七草ナズナの存在が、ちょっと変わった少女として描かれています。
ファンタジー要素が含みつつも思春期の少年の心を面白おかしく描いた作品で、今後の展開が読めずどのようの物語が広がるか楽しみな作品となっています。

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江戸前エルフ /樋口彰彦

タイトル:江戸前エルフ
作者  :樋口彰彦
連載期間:2019年~
巻数  :既刊6巻(2022年7月)

江戸時代に異世界から現世に召喚されたエルフが神社の御神体として祭られ、400年間の歴史の生き証人として現在の東京で生活を送る「異世界召喚×日常系×歴史×ファンタジー」など様々なジャンルが折り重なった漫画です。
主人公で女子高校生の小金井小糸は江戸時代より400年以上の歴史を刻む「高耳神社」の巫女として先代から引き継ぎ、御神体にて神様として祭られているエルフのエルダの世話係としてお役目をはたしています。
エルダは江戸時代に小糸の先祖が異世界から召喚して以来、江戸に住み続けており、将軍徳川家康から「自分の代わりに江戸を、この国を見届けてくれ」との約束を受けて高耳神社の神様として歴史を見届ける役目をはたしています。
しかし、エルダは外に出ることを嫌い俗物思考で文明を満喫するダメな性格の持ち主で、引きこもり生活が長引いていることもあり、オタク的知識が増えて神様とはかけ離れた俗世的な生活を続けていました。
小糸はエルダの引きこもっているダメな奴と思いつつも神様として崇拝し、巫女としてのお役目を果たしながらエルダと共に東京を見て回る約束をします。

この漫画は長命種でファンタジー世界の住民であるエルフが江戸時代に召喚されてから現代まで神様として祭られているという設定のお話しで、良くある「異世界召喚モノ」とは逆の設定となっています。
エルフでありながら日本文化の歴史に詳しいエルダは、”おばあちゃんの知恵袋”的な知識を見せつつ、江戸文化の名残やそれがどのように現在に至り変化してきたのかなどを分かりやすく語り、読むだけでマメ知識が身に付きます。
世界観は下町文化と江戸文化の名残が感じられる東京都中央区月島を舞台にしており、登場する建物や通り等は実在する場所ばかりです。
エルダはエルフでありながら見た目以外はエルフらしさが一切無く、典型的な引きこもりの人物で、ファンタジー要素はほとんど無くてジャンルをあえて選択するとすれば「日常系漫画」と言え、淡々と読み進めるには丁度良い作品です。

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天牢のアヴァロン /原作. 浜村俊基 漫画.藤澤紀幸

タイトル:天牢のアヴァロン
作者  :原作. 浜村俊基 漫画.藤澤紀幸
連載期間:2019年~2020年
巻数  :全4巻

宇宙に進出して星間移民船による人類の移住を進める中で起きた事故により、目的地ではない惑星に囚われた人類が存亡をかけた争いを繰り広げられるSFファンタジー漫画です。
ソ連が覇権国家となり宇宙へ進出して恒星間移民船団が作られ、移民たちは冷凍睡眠により数光年先の惑星を目指しています。
主人公のアズマは目的地の惑星に着いた時に人々を導く指導者になるための管理官候補生として、10年に一度冷凍睡眠から目覚めて移民船団に異常が無いかを目視で確かめる任務をこなしていました。
しかし、ある日アズマは冷凍睡眠から目覚めると移民船は名も知らぬ惑星に墜落しており、人類が生存するには劣悪な環境の惑星での生活を余儀なくされます。
アズマは「先人(プロローグ)」と呼ばれ、移民船団で起きた爆発事故による墜落から400年あまり経過しており、生き残りの子孫が移民船の残骸を奪い合いながら、いくつもの勢力に分かれて争う戦争に巻き込まれることになります。

この漫画の世界観は非常に面白く、20世紀末に地球がソビエト連邦により統治され、民衆を希望に導くために拡張主義を推し進め、常に新しい領土を求めて、ついには宇宙進出を果たし、恒星間移民を進めることになります。
しかし、移民船団は恒星間を移動中の事故により目的地とは異なる不毛の大地へ降り立ち、400年もの月日が流れ、文明は中世ヨーロッパの時代まで後退して移民船の技術はロストテクノロジーとして扱われるようになります。
移民船には船外活動を行えるハイテクの宇宙服が備わっていましたが、人々はそれに装甲を付けて甲冑として兵器に転用し、「騎士鎧(オルラーン)」として戦争の道具として使っていました。
騎士鎧は貴重で、整備できる人もいなくなり、戦場でも奪い合いになるほどのもので、騎士鎧が数体でも運用次第では戦局が大きく変わる重要な兵器として扱われています。
中世ヨーロッパの世界観に宇宙移民時代のハイテク宇宙スーツをベースとした甲冑が登場する設定は非常に目新しく、SFらしいデザインでありながらカッコいい甲冑デザインが魅力の漫画です。

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異世界食堂 /原作.犬塚惇平 漫画.九月タカアキ

タイトル:異世界食堂
作者  :原作. 犬塚惇平 漫画.九月タカアキ
連載期間:2016年~2019年
巻数  :全4巻

ごく普通に営業している洋食屋が土曜日だけ異世界と繋がり、週に一回異世界の住民を客としてもてなす食堂の物語です。
オフィス街に近い商店街の一角にある洋食屋「洋食のねこや」は、平日は普通の食堂として営業していますが、土曜日だけは店の扉が異世界にいくつもつながる不思議な店で、週に一度異世界での特別営業を行います。
登場する人物は店主以外は皆異世界の住民たちで、「洋食のねこや」の扉は異世界の毎回決まった場所に現れない為、様々な客が新たに「洋食のねこや」を訪れます。
「洋食のねこや」の料理の虜となった者は再度料理を求めて来訪し、いつしか「異世界食堂」と呼ばれるようになった「洋食のねこや」を舞台にした、店員と客、時には客同士のほのぼのとした群像劇を描きます。

このマンガは日本のオフィス街の一角にある洋食屋が土曜日だけ異世界で営業する物語で、客はファンタジー世界の住民である異世界人たちです。
店長は10年前に先代店主から店を受け継いだ時から異世界での営業を続けており、「なぜ異世界につながるのか」というようなところには物語の中では一切触れていません。
月曜日から金曜日までは通常営業で、土曜日は”特別営業”しているだけで、異世界に対して特別視は無く、異世界の住民を普段の客として応対する洋食屋の物語となっています。

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鋼の錬金術師 /荒川弘

タイトル:鋼の錬金術師
作者  :荒川弘
連載期間:2001年~2010年
巻数  :全27巻

錬金術を題材としたファンタジー漫画で、「生命の倫理観」「死生観」「人間の定義」などを描く深い物語と、ダークな展開も見せるストーリーで多くの方に支持された傑作漫画です。
主人公のエドワード・エルリックと弟のアルフォンス・エルリックは高名な錬金術師の父を持ち、幼少のころから錬金術の才能を開花していました。
やがて父は失踪することになり、母は女手一つで兄弟を育ててきましたが、病に倒れてやがて帰らぬ人となります。
エドワードとアルフォンスは失踪した父を恨みながらも、母親の死を受け入れられず、錬金術で母を蘇らせようと考え、錬金術における最大の禁忌である「人体錬成」を行い失敗し、その代償としてアルフォンスは全身の体が犠牲となり、エドワードはアルフォンスの魂だけは甲冑に定着させて、自身の片足と片腕を失うことになります。
エドワードとアルフォンスは失意の元生きる目的を失い苦悩することになりますが、エドワードは錬金術を使いアルフォンスの身体を取り戻すために、より高度な錬金術を学ぶ為に軍属になる道を選びます。

この漫画は錬金術を題材としたファンタジー漫画ですが、世界設定が近代革命が起きた19世紀のヨーロッパを舞台にした内容で、非常に近代的な世界を舞台としています。
錬金術というものが魔法ではなく、等価交換を基本とした考えによって成り立っており、錬金術が万能なものではなく、ある種の法則により成り立っていることを示唆する設定が非常に良く練られており、漫画的なご都合主義とは違った深い展開をみせます。
物語の中で、軍国主義で四方の国と戦争を行っている国がどのようにして成り立ったのかといった非常の壮大な展開を見せることになり、少年誌とは思えない複雑で深い内容にストーリーが広がるのですが、絵柄やキャラクターといったものがしっかりしており、それぞれのキャラクターのバックボーンも詳細に描かれることで、わかりやすく読者に伝えています。
「鋼の錬金術師」は後世に残る名作の漫画と言える作品で、読み終えた後の満足感が非常に高く、何度も読み返したくなる作品で日本のみならず世界中にファンがいる傑作ファンタジー漫画です。

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アニメ版や実写映画版はこちらです。

チェンソーマン /藤本タツキ

タイトル:チェンソーマン
作者  :藤本タツキ
連載期間:2019年~2021年
巻数  :全11巻

日常的に「悪魔」が存在する世界を舞台にした、悪魔退治を行う「デビルハンター」と呼ばれる公安組織の活動を追ったダークファンタジー漫画です。
主人公で少年のデンジはチェンソーの悪魔であるポチタと悪魔を駆除する「デビルハンター」を主な仕事としながら生計を立て、死別した父の借金を返しながら生活を送っていました。
ある日、いつも悪魔退治の仕事を斡旋してくるヤクザが、悪魔に操られてゾンビとなって襲われ、不意を突かれたデンジとポチタは命を落としますが、ポチタが心臓となりデンジの身体を再生したことで、デンジはチェンソーの悪魔に変身する能力を持つことになります。
デンジはチェーンソーの悪魔の力を使い、ゾンビの集団を一掃することが出来ましたが、同時に現場に駆け付けた公安のデビルハンターに確保され、「悪魔として殺されるか公安の犬として従うか」取引が行われ、公安の一員として管理されることになります。

この漫画は「悪魔」という存在をかなり変わった形で表現しており、「〇〇の悪魔」という形で悪魔の母体となるものが決まっています。
そして名前が恐れられているものほど悪魔自身の力が増すという設定になっており、世界観や設定が大変珍しくてオリジナルティがあります。
基本的にはバトルアクションをメインにしたストーリーで話が進むのですが、公安という組織に所属したデンジの人間性の成長や、他のメンバーがなぜデビルハンターという仕事に就いているか、どういった目的で悪魔を倒すために活動を行っているのかというサイドストーリーも面白く、物語を広げながら世界観をうまく広げて説明していきます。
グロテスクな描写が含まれて少年漫画としては刺激のある作品ですが、今後のストーリー展開が楽しみな漫画です。

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怪獣8号 /松本直也

タイトル:怪獣8号
作者  :松本直也
連載期間:2020年~
巻数  :既刊9巻(2023年4月)

怪獣と呼ばれる巨大生物が蔓延る世界で怪獣発生率が世界屈指となっている日本を舞台にした「SFファンタジー×超能力バトル」漫画です。
主人公の日比野カフカは怪獣専門の清掃業者「モンスタースイーパー㈱」に務めており、怪獣殲滅を目的とした組織「日本防衛隊」により討伐された怪獣の死骸を処理する清掃業を生業としています。
カフカは幼少の頃に怪獣の出現で自宅と住んでいた町が被害に遭い、幼馴染の亜白ミナとともに「怪獣を全滅させよう」と約束したのですが、カフカは32歳になっても防衛隊隊員の試験に合格できず、方やミナは日本防衛隊第3部隊の隊長として活躍していました。
カフカは防衛隊への入隊する夢を半ばあきらめて怪獣の死骸を片づける清掃員として惰性的な生活を送っていましたが、日本防衛隊の入隊試験の年齢制限が33歳に緩和されたのを受けて、最後のチャンスとして隊員試験を受けることを決意します。
しかし小型の怪獣に襲われたことで身体が浸食されて怪獣化してしまい、人間では無くなる代わりに人知を超えた怪獣の力と変身能力を手にします。
カフカは怪獣の力と変身能力を手にしたことに戸惑うも、自分の意志でをコントロール出来ることから正体を隠したまま怪獣を討伐する日本防衛隊の入隊試験を受けることになります。

この漫画は怪獣という存在を「災害」に置き換えており、怪獣を台風に例えて番号で呼び、怪獣の強さには地震の強さを計測するマグニチュードに例えた「フォルティチュード」という単位が使われるなど工夫がされています。
怪獣は街を飲み込む巨大なものから人サイズの小型なものまで広く定義されており、そうした怪獣の死骸から得られる素材を使う企業が存在するなど、「日常の中で怪獣が存在するとどうなるのか」ということをしっかりと考察されており、類似性の高い設定としては映画「パシフィック・リム」をイメージすると分かりやすいかと思います。
本作品は「少年ジャンプ+」で連載されていますが、連載当初からネット上で話題となり、総閲覧数が「少年ジャンプ+」史上最速となるペースで伸びるなど話題沸騰中の作品で、王道のジャンプ漫画としての構成も万人受けする内容となっていることから今後はアニメ化してメジャー作品化することが予想されます。

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Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 /原作.之貫紀 漫画.平未夜

タイトル:Dジェネシス ダンジョンが出来て3年
作者  :原作.之貫紀 漫画.平未夜
連載期間:2020年~
巻数  :既刊3巻(2022年12月現在)

異世界の構造物である「ダンジョン」が現在社会に誕生して3年が経過した地球を舞台にした物語で、主人公のサラリーマンが脱サラしてダンジョンを潜って生計を立てる冒険ファンタジー漫画です。
2015年にアメリカでネバダ州で行われたマイクロブラックホールの生成実験の結果、異世界と現実世界が繋がってしまい、世界で最初のダンジョンが生まれて、その後世界中でダンジョンが誕生するようになります。
最初のダンジョンが生まれてから3年後、主人公の芳村圭吾はダンジョン素材の物性を調べる企業で基礎研究を行うサラリーマン研究員として生活を送っていました。
勤めている企業は上司のミスのしりぬぐいをさせられるなどブラック気質で、会社に嫌気を指していたところ、営業先からの帰りに車で移動中に都内に突如出現したダンジョンの事故に巻き込まれて、ダンジョンから出現したゴブリンを車で跳ねて殺してしまいます。
また、地割れで立往生した資材を積んだトラックを偶然にもダンジョンにより生まれた地割れに落下させてしまいました。
この偶然で結果的に都内に生まれたダンジョンは消滅して、圭吾は異世界のモンスターを倒して得られる「Dカード」と希少な「スキルオーブ」を手に入れることになります。
思わぬ物を手に入れた圭吾は、嫌気が指していたサラリーマンを退職してダンジョンに潜って生計を立てる道を歩みます。

この漫画「小説家になろう」が原作の小説のコミカライズ作品ですが、書籍版になるに当たってタイトルや設定など様々なところで改変がされています。
漫画版はWeb版や小説版に比べると様々な情報が簡略化されているので、物語の細かな設定を知りたい場合は小説版をお勧めしますが、漫画版は必要な情報だけを選んでストーリーを整理されており、読みやすく再構築されています。
現実世界に異世界の構造物であるダンジョンが誕生する現代社会を舞台にしてる為、ダンジョンに関連する企業の誕生や、それに伴う経済の仕組みが描かれ、ダンジョンに対する人々の認識やダンジョンによる社会への影響が細かく描かれています。
こうしたファンタジーの要素であるダンジョンが現実世界に紛れ込んだことをリアルに想定した設定された作品は珍しく、新鮮味のある物語が楽しめます。
このような物語構成である為、この作品の本質は一介のサラリーマンが脱サラしてダンジョンを経済活動の場に移して、成り上がっていく様を楽しむ立身出世ストーリー漫画と言えます。

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小説版はこちらです。

望まぬ不死の冒険者 /原作.丘野優 漫画.中曽根ハイジ

タイトル:望まぬ不死の冒険者
作者  :中曽根ハイジ
連載期間:2018年~
巻数  :既刊10巻(2022年12月)

特別な才能は無い冒険者がダンジョンで龍に喰われて殺されますが、気が付くと魔物である「骨人(スケルトン)」として蘇り、人に戻る為に冒険を続けるファンタジー漫画です。
主人公で冒険者のレントは日々の鍛錬と日銭稼ぐために初心者向けのダンジョンに潜り魔物を狩ることを10年近く続けて生業としていますが、冒険者としての才能は無く「銅級下位冒険者」という低位の位置付けから上がれずにいました。
ある日ダンジョンに潜り、いつものように狩りをしていると、地図に無い未踏破区域を見つけ、無謀にも単独で進んだところ、最高位の魔物である「龍」に遭遇し、圧倒的な力の前に為す術なく喰われてしまいます。
死んだと思われたレントは目を覚ましますが無事ではなく、自身の姿が「骨人(スケルトン)」になっていました。
レントはまだ解明されていない「存在進化」という魔物が持つ独自の進化を利用し、人間に戻る為に魔物でありながら魔物を狩ることを繰り返しダンジョンをさ迷います。

この漫画は一介の冒険者が高位の魔物である龍に喰われて殺されるところから始まりますが、気が付くと「骨人(スケルトン)」として蘇り、まだ謎の多い魔物独自の進化の仕組みである「存在進化」を利用して人間に戻る為に魔物を狩り続けるお話しです。
「骨人(スケルトン)」から高位の魔物に進化する過程で、人間の姿をイメージして、少しづつ「骨人→屍食鬼→屍鬼」と存在進化を繰り返し、人間の姿を取り戻そうと奮闘します。
やがて協力者を見つけて、仮面とローブをまとうことで街に出入り出来るようになり、人間に戻る為に魔物の持つ「存在進化」の謎を解いていくという面白さもあり、様々なファンタジーを題材にした漫画や小説の中でも、世界観が非常に良く練れた物語となっています。
全体としてダークファンタジーの様相をみせつつも、硬派な印象を与えるストーリー展開で、魔物の不思議な進化系の謎を解明していく件は目を引く面白さです。

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小説版はこちらです。

ノー・ガンズ・ライフ /カラスマタスク

タイトル:ノー・ガンズ・ライフ
作者  :カラスマタスク
連載期間:2015年~
巻数  :既刊13巻(2022年12月)

身体の一部を機械化して機能拡張した「拡張者(エクステンド)」と呼ばれる人間が溢れる街で、拡張者絡みの問題を解決する「処理屋」と呼ばれる家業を生業とした男が主人公のSFファンタジーアクション漫画です。
主人公の乾十三は先の大戦で全身を機械化したサイボーグであり、「拡張者(エクステンド)」と呼ばれる存在で、生身の人間が済む街で「乾相談所」という屋号で拡張者絡みの問題を解決する「処理屋」と呼ばれる家業を生業としています。
ある日、十三は警備局追われた全身を機械化した拡張者の誘拐犯と、誘拐犯によって連れ去られた少年と遭遇しますが、警備局には突き出さずに匿います。
拡張者である誘拐犯から誘拐の被害者である少年の保護を求められ、十三は処理屋として依頼を受け入れます。
この少年は身体を機械化する機能拡張技術で巨大企業となったベリューレン社のCEOの息子ということが分かり、またその少年が違法な機能拡張技術である拡張体遠隔操作装置「ハルモニエ」を使用する人体実験の被験体であることを知ります。
ベリューレン社からの追手により少年が奪われますが、十三は依頼を遂行し少年を取り戻して巨大企業であるベリューレン社と敵対することとなります。

この漫画は世界設定がぶっ飛んでおり、主人公が先の大戦で「GSU(ガンスレイブユニット)」と呼ばれる兵装を持つ13人の内の1人で、頭部が巨大なリボルバーの姿をしています。
世界設定も魅力でサイバーパンクな近未来SFファンタジーを彷彿させる世界観となっており、SFファンの心を鷲掴みにします。
こうしたサイボーグを題材にしたキャラクターは多くのマンガ作品で登場はしますが、頭部が巨大なリボルバーになっているキャラクターというのはかなり目を引きますし、主人公のビジュアルを見て「何だこの漫画は?!」という驚きを読者に与えてくれます。
ビジュアルだけではなくストーリーはしっかりとしており、主人公の十三のカッコよさと魅力があふれる物語展開で、振る舞いや口振りが刺さります。
銃身をモチーフにした姿なのに戦闘方法は主に徒手空拳というギャップも面白くて魅力的でもあり、全身が機械の姿なのに非常に人間臭い性格なので、好感が持てます。
一風変わった漫画作品を読んでみたいとという方には大変おすすめの漫画で、読むとファンになること間違い無しの作品です。

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アニメ化しています。

幻想グルメ /原作.天那光汰 漫画.おつじ

タイトル:幻想グルメ
作者  :原作.天那光汰 漫画.おつじ
連載期間:2016年~2020年
巻数  :全7巻

食べ歩きを趣味とするサラリーマンが些細なことで命を落として異世界に転移しますが、異世界の地で珍しくて幻想的な食材を求めて食べ歩きを続ける異世界グルメ漫画です。
主人公でサラリーマンの桂木俊一郎は仕事中に些細なことで命を落としてしまうのですが、意識を取り戻すと獣人や妖精といった住民であふれる異世界に放り出されていました。
異世界で生きていくために現世日本で培った知識を使って日銭を稼ぐ仕事をしていたところ、異世界の4大貴族と呼ばれるサキュバール家の当主に魅入られ、現在ビジネスの知識を使ってサキュバール家のコンサルティングを行い、事業で成功を納めます。
その後異世界の地で富と地位を手に入れた俊一郎は獣人のメイドであるシルフィンを雇い、サキュバール家のコンサルティングの仕事の傍ら美味いものを食べるために、シルフィンと共に異世界中の幻想料理を食べ歩く日々を送ります。

この漫画は食べ歩き好きのサラリーマンが異世界に転移してビジネスマンとして成功した後に、余る財力を使って幻想料理を食べ歩くということをテーマにした異世界グルメ漫画となっています。
登場する料理は異世界の地での食材ならではの物で、中には味のイメージがしにくいものがありますが、地球では絶対に食べられないような食材を使ったグルメ料理が登場します。
調理方法については現世でも見られるようなものがありますが、食材としているものが大変面白く、ツチノコやドラゴンといったものが登場します。
世界観はファンタジーを主体としていますが、面白いのは「人間」という種族がいない世界で、住民は獣人やエルフ、サイクロプスといった様々な種族であふれています。
特段大きなストーリー性はないですが、異世界での幻想的な料理を食べ歩く姿を見て楽しむグルメ料理漫画として魅力的な作品です。

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異世界迷宮の最深部を目指そう /原作.割内タリサ 漫画. 左藤圭右

タイトル:異世界迷宮の最深部を目指そう
作者  :原作.割内タリサ 漫画. 左藤圭右
連載期間:2019年~
巻数  :既刊4巻(2021年9月現在)

突然の前触れもなく異世界に召喚された少年が元の世界に戻る為に巨大な迷宮の最深部である百層への到達を目指す「異世界召喚×冒険ファンタジー」漫画です。
主人公の相川 渦波(アイカワ カミナ)は入院する妹の見舞いの帰り道であったはずなのに気が付くと見覚えのない暗い回廊で目を覚まします。
突然の出来事で動揺する中、周囲を見渡すと現実世界には存在するはずの無いモンスターが蔓延る『迷宮』と呼ばれる危険地帯である事を知り、他の迷宮探索者達の囮にされたことでモンスターからの攻撃を受けることになります。
襲われたモンスターを運よく撃退して命からがら迷宮を抜けて地上に出た渦波は、自分自身が異世界に召喚されたことを受け入れ、まずは安全な場所の確保と『迷宮』の存在を調べる為に街道を辿って街にたどり着きます。
『迷宮』は100層の階層を持つ構造物で、試練に乗り越えて最深部にたどり着いた者にはどんな望みも叶うとされていることを知り、渦波は”元の世界に戻る”事を望むことから異世界での目標を見つけます。
渦波はまずは異世界での生活基盤を整えるために”ジークフリート・ヴィジター”という偽名を名乗り、冒険者が集う迷宮近くの酒場で給仕の仕事をしながら異世界の情報を集め、共に迷宮攻略を目指す仲間を探して迷宮の最深部を目指します。

この漫画は突然異世界に召喚された少年が、元の世界に戻る為に異世界に存在する「どんな望みも叶える」力を持つ迷宮の攻略を目指す冒険ファンタジー漫画です。
元々は小説投稿サイトである「小説家になろう」で連載が開始された作品で、商業誌になる過程でいくつか設定の改変がされていますが、概ね原作を忠実に再編集された作品となっています。
ただ、コミカライズ作品ではカジュアルなビジュアルイメージに置き換えた作風になっている事から、原作ファンの中ではコミカライズ作品について意見が分かれているようです。
物語としては良くある異世界召喚を題材にした設定であることや、主人公を含むキャラクターの成長要素をゲームシステムに置き換えているので、オンラインMMORPG等をプレイした事がある方には馴染みやすい世界観となっており、物語としてすんなりと頭に入ってくる構成となっています。
物語が進む中で異世界の理や主人公とその家族がどのように異世界に関係しているのか、なぜ主人公が異世界に召喚されることになったのかという様々な謎が明らかになっていく過程が大変面白く、読み進めるにつれてどんどん興味が湧いていくる作品です。

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ベルセルク /三浦建太郎

タイトル:ベルセルク
作者  :三浦建太郎
連載期間:1989年~
巻数  :既刊40巻(2018年10月)

中世ヨーロッパの世界観をベースとした剣と魔法の世界を舞台とする長編漫画で、身の丈を超える巨大な剣を携えた剣士の復讐の旅を描いたダークファンタジー漫画です。
主人公のガッツは身の丈を超える巨大な大剣や義手に大砲を仕込んだ様々な武器を持ち、ゴッド・ハンドと呼ばれる存在倒すために旅を続けています。
ガッツは幼少のころから傭兵の義父に育てられ、やがて一人で戦場に立つようになり、傭兵団「鷹の団」に所属する剣士として成長しますが、団長であるグリフィスと対等になるために、「鷹の団」を抜けることになります。
その後グリフィスは国王の逆鱗に触れたことで拷問を受けて廃人同然となり、ガッツはかつての仲間である「鷹の団」と合流し、グリフィスを助け出しますが、グリフィスは傭兵団「鷹の団」を生贄にして、ゴッドハンドと呼ばれる幽界の最深奥に存在する「何か」の意思を執行する存在になります。
ガッツは生贄とされて壊滅した「鷹の団」のほぼ唯一の生き残りとして、ゴッドハンドを倒すために復讐を誓います。

この漫画はダーク・ファンタジー漫画の金字塔で28年以上連載されている作品で、非常に細かく緻密に描き込まれた重厚な絵と、主要キャラクターの内面や感情をしっかりと表現するストーリーに、見るものを引き込む壮大な世界観が魅力の漫画です。
物語が数章に分かれており、何度か時系列が変わり様々な出来事を余すことなく物語として見せるところが面白く、各章ごとにそれぞれの魅力があります。
ベルセルクは日本国内だけでなく、海外でも非常に人気がある作品で、2002年には第6回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞を受賞し、これまで何度もアニメ化された作品で、多くの漫画作品に影響を与えています。
連載が不定期であることや物語が壮大すぎることで、まだまだ終わりの見えない作品ですが、世界観の表現や心理描写などダークファンタジーとして大変すばらしい作品です。

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スピリットサークル /水上悟志

タイトル:スピリットサークル
作者  :水上悟志
連載期間:2012年~2016年
巻数  :全6巻

前世を見れる霊的な道具を使い、主人公が過ごした前世での記憶をたどりながら物語を重ねる「輪廻転生」をテーマにしたファンタジー漫画です。
主人公で中学生の桶屋風太はどこにでもいるごく普通の少年ですが霊感があり、転校生の石神鉱子の出会った日に鉱子についている背後霊の存在に気づきます。
鉱子の背後霊は気さくで風大に話しかける為返事をしたところ、鉱子は背後霊である”イースト”が風太に見えていることに気が付き、探していた恨みを持つ人物であることに気が付きます。
鉱子は風太に対して積年の恨みを果たすことを伝えますが、風太にとっては鉱子とは初対面であり、過去に一度も会ったこともありません。
鉱子は過去生を見れる道具”スピリットサークル”で風太を殴りつけて、前世で死闘を行った関係を体験させて、風太に前世の記憶を思い出させます。
鉱子の目的は風太の魂を殺して輪廻を断つことで、風太に対して7つの前世の記憶を体験させます。

この漫画は”スピリットサークル”と呼ばれる霊的な道具を使い、前世の記憶である過去生を見せることで、様々な人間関係と現世への影響を語る内容となっており、複雑な物語を最終的にきれいに折りたたむストーリー展開が魅力のファンタジー漫画です。
物語は全部で7つの章に分かれているのですが、それぞれの登場人物が現世で関係を持っている身近な人物で、仲が良くて身近に感じている人物たちが、実は前世で身近な存在でそれぞれが関係性を持っており、輪廻転生を繰り返して現世でも集まっています。
鉱子と風太前世で何度も繰り返し殺し合う関係性であるため、鉱子は風太の魂を殺して輪廻を断つために、現世で風大を探していました。
霊的な道具である”スピリットサークル”により体験する前世は、それぞれ時代や地域もバラバラですが、身近な人物たちの人間関係は続いており、輪廻転生を繰り返しながら現世の関係性が築かれていることが次第に明らかになっていきます。

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生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい /原作.のの原兎太 漫画.溝口ぐる

タイトル:生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい
作者  :原作.のの原兎太 漫画.溝口ぐる
連載期間:2018年~
巻数  :既刊1巻

錬金術を生業として静かに生活を送っていた少女が、魔物による攻勢から身を守るために仮死状態になり、目覚めると200年の時が経過していという展開のファンタジー漫画です。
主人公で錬金術師の少女・マリエラは錬金術を生業とし、「魔の森」と呼ばれる魔物が住む森の側の防衛都市で冒険者などにポーションなどの様々な薬を売って生活をしていました。
ある日、魔の森の力が強まり魔物が都市まで溢れたため、マリエラは魔物から身を守るために、自宅の地下室で「仮死の魔法陣」の力を使い、仮死状態になり魔物の目を欺かせて難を逃れます。
マリエラは仮死状態から目覚めると周囲の様相が一変しており、偶然出くわした輸送隊の隊員説明によれば、マリエラが住んでいた防衛都市は200年前に滅んでおり、マリエラは200年もの間地下室で眠っていた事を知ります。
そして同時に錬金術士によって作られるポーションが大変貴重な品になっている事や、国の様相が大きく様変わりしていることを知ります。

この漫画は錬金術師が魔物から身を守るために使った「仮死の魔法陣」が想定外の状況で使われた結果、すぐに目覚めることなく200年間眠り続けることになります。
200年後の世界は一見変わらず同じような文化レベルで言葉も通じる世界なのですが、”魔物の領地”となってしまったことで精霊との契約が結べなくなった為、錬金術士は精霊との契約ができなくなり、錬金術師がいなくなっていました。
そのため、ポーションや錬金術により作られる薬は大変貴重なものとなっており、マリエラの存在は稀有で、錬金術師であることがバレると大騒ぎになるため、一部の信頼できる人物以外は口外しないようにして生活を送ることになります。
ポーションを作る錬金術師を主人公としている物語なので、派手な戦闘シーンなどはありませんが、ファンタジーの世界観がしっかりと描写された漫画で今後が楽しみな作品です。

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現実主義勇者の王国再建記 /原作.どぜう丸 漫画.上田悟司

タイトル:現実主義勇者の王国再建記
作者  :原作.どぜう丸 漫画.上田悟司
連載期間:2018年~
巻数  :既刊10巻(2023年6月現在)

異世界に勇者として召喚された青年が王国の状況を把握して、勇者として活躍するのではなく王政を掌握して富国強兵策を行い王国を再建するという一風変わった異世界内政ファンタジー漫画です。
主人公の相馬一也は両親を早くに無くして祖父母に育てられましたが、その祖父母も他界して孤独の身でした。
ある日突然、異世界に勇者として召喚されて、召喚を行った国が未曽有の危機であることを知るわけですが、その問題の多くが魔族との戦争により疲弊した経済状況であったり、国としての政策が歪なものであることに気が付きます。
勇者として活躍するよりも、王国の再建を行う方がより多くの人を救えると考えた一也は、現代日本での知識を活かし富国強兵策を提案します。
王は一也の提案に驚きつつも、その内容にしっかりと耳を傾けて提案内容に納得し、速やかに実行するために一也に王位を譲り、一也は一国の王となり王国を再建に導きます。

この漫画は最近流行りである異世界召喚を題材にした漫画ですが、内容は剣と魔法のファンタジーを主体としたお話ではなく、政治を改め国を豊かにすることで多くの人々を救おうとするお話しです。
その為か、この漫画における「勇者」の扱いは他の作品とは異なり、”時代の変革を導く者”と定義されており、”魔王を倒す者”ではありません。
一也は国王より譲位されたことで、権力を握り、財政難となった王政を、現在日本で学んだ知識を使って改革を行います。
多くのファンタジー漫画とは異なり、政治や経済の内容がふんだんに盛り込まれた内容である為、一見難しくは感じますが、深堀せずに説明するにとどめているのですらすらと読むことが出来ます。
政治や経済を主体とした物語が好きな方や、一風変わった漫画を読みたいという方にはおすすめの作品です。

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明日の敵と今日の握手を /原作.カルロ・ゼン 漫画.フクダイクミ

タイトル:明日の敵と今日の握手を
作者  :原作.カルロ・ゼン 漫画.フクダイクミ
連載期間:2022年~
巻数  :既刊2巻(2022年12月)

20世紀初頭を彷彿させる架空の世界を舞台とした物語で、駐在武官が国家の趨勢を懸けて外交業務を行う、難しい内容を分かりやすく、そして面白く物語にしている「歴史×ファンタジー×戦記」の漫画です。
世界は混沌とした戦況下にあり、4つの国の同盟である『皇帝同盟』と2つの国の同盟である『協商』が対立していました。
極東にある「ドラゴンフライ皇国」は世界が2つの勢力に分かれて争う中で、中立を保っていましたが、世界に覇を唱える『皇帝同盟』と結ぶべきだという主張の『艦隊派』と、世界の現状維持を望む『協商』との友好関係を続けるべきとする『条約派』の2つに分かれて内部対立を深めており、派閥同士互いに腹の探り合いを行っています。
主人公のハイラド・ウィルストーンは貴族でありドラゴンフライ皇国の海軍中将で、『条約派』に属していました。
ドラゴンフライ皇国内では次第に『艦隊派』の勢力が強まり、『皇帝同盟』へ属するべきという声が高まる中、『皇帝同盟』と『協商』の間で大規模な会戦が起きたことで状況が大きく変わります。
ウィルストーン中尉は関係が悪化しつつある『協商』国家に駐在武官として乗り込み、国家の威信と趨勢を懸けた駐在武官として戦いが始まります

この漫画は20世紀初頭にヨーロッパで火ぶたを切られた第一次世界大戦をオマージュした内容で、ドイツ・オーストラリア・イタリアの『三国同盟』と、イギリス・フランス・ロシアの『三国協商』で、日本がどちらの勢力に就くのかという状況を、架空の国に置き換えた構成となっています。
物語の主なテーマは「戦記」モノではなく、「外交」となっており、漫画のジャンルとしてはかなり珍しいテーマを題材としていると言えます。
物語の柱となる部分が「軍隊」であり、海軍と陸軍の対立関係や軍閥など、旧日本軍の様相を描いていることから、そういった歴史を知らない読者は置いてきぼりを喰らいます。
舞台は20世紀初頭を彷彿させる文化レベルであるものの、未知のテクノロジーが登場することから、「ファンタジー」に部類する内容となっており、一定の歴史認識が無いと、理解が難しい作品と言えます。
読者を選ぶ漫画とも言えますが、外交とはどういったモノであるのかや、諜報活動がどのように行われるかなど、他の作品では読むことが出来ないことから「学習漫画」としても価値があるので、人にお勧めできる漫画です。

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まおゆう魔王勇者「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」 /原作.橙乃ままれ 漫画.石田あきら

タイトル:まおゆう魔王勇者「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」
作者  :原作.橙乃ままれ 漫画.石田あきら
連載期間:2011年~2016年
巻数  :全18巻

魔王が勇者と対峙した際に魔王は世界の不条理な災いは人間の政治や経済活動の未熟さ故起きていることを説き、勇者と魔王が契約を結び世界を救うために協力するお話です。
主人公の魔王は外見的には人間とほぼ変わらない紅い瞳を持つ妙齢の女性で、戦闘能力は低いが「外なる図書館」で得た経済学を中心とした各種の高度な知識を持ちます。
勇者は卓越した魔力と戦闘能力を持ちますが、非常にまっすぐな正義感の強い性格で、魔王を倒すことが世界に平和をもたらすと信じてきました。
勇者は魔王と対峙した際に「この我のものとなれ、勇者よ」と問われ、初めは断りますが、世界を平和にするには、現在の社会秩序や経済活動が戦争に依存しており、魔王を倒しても根本的解決にならないことを知ります。
魔王の願いが争いや飢えのない新たな世界を作ることを知り、そのために勇者の協力を求めていることを理解した勇者は、魔王に協力することになります。

この漫画は魔王が経済学と政治に精通した知識を持つ人物で、世界の行く末を案じており、勇者が目の前に現れた際に世界を導き滅びゆく世界を救うことを目的で勇者に協力を要請します。
滅びゆく世界の先を見たい魔王は世界を平和にするために経済と政治の安定を説き、世界を平和にして世界を救うことを目的とした勇者と利害が一致しますが、このあたりの下りは他の魔王と勇者との関係ではありえない物語展開となっており、経済学に興味がある方は没頭してしまうくらい内容が濃いものになっています。
この漫画はコミカライズが3つも存在する大作で、魔王漫画の中でもお勧めの作品です。

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原作の小説や他のコミカライズ作品、アニメ版はこちらです。

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか /原作.大森藤ノ 漫画.九二枝

タイトル:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
作者  :原作.大森藤ノ 漫画.九二枝
連載期間:2013年~
巻数  :既刊10巻(2018年9月)

広大な地下迷宮を中心に栄える都市「オラリオ」に冒険者として身を置き、英雄の冒険譚にあるような異性との運命の出会いに憧れた少年が活躍する冒険ファンタジー漫画です。
主人公のベル・クラネルは14歳の人間の少年で、冒険者となるべく一大決心をしてオラリオに移り住み、駆け出しの冒険者として単独でダンジョンに潜っていましたが、不運にも中層級の強さを持つミノタウロスに襲われたところを女性冒険者アイズ・ヴァレンシュタインに助けられます。
彼女の強さと衝撃的な出会いで一目惚れしてしまったベルは、彼女に振り向いてもらうために一目置かれる立派な冒険者となることを誓いますが、この出来事がきっかけとなり秘めていたスキル「憧憬一途」が発現したことにより、急激なスピードで熟練度が上昇し、瞬く間に冒険者として頭角を現すことになります。

この漫画は主人公が英雄の冒険譚に憧れ、よこしまで青臭い考え方を持ちダンジョンに潜っていましたが、本物冒険者と出会ったことで純真一途に強くなるため奮闘することになります。
冒険ファンタジーものの要素である「ダンジョン」「モンスター」「異種族」「ステータス」「スキル」などが一通りそろっており、専門的な用語がいくつか登場しますが、非常にわかりやすく読者に説明しています。
登場人物が多いので少し覚えるのが大変ですが、どのキャラクターも個性的で特徴があり、すぐに関係性が掴むことが出来ます。
2015年にはテレビアニメ版が放送され、ゲーム化や劇場版が予定されており、外伝漫画も多数連載されているなど、注目されているファンタジー漫画です。

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空挺ドラゴンズ  /桑原太矩

タイトル:空挺ドラゴンズ
作者  :桑原太矩
連載期間:2016年~
巻数  :既刊15巻(2023年2月現在)

空に龍が巣くうファンタジー世界を舞台にした龍を追いながら世界の空を往く捕龍船「クィン・ザザ号」の船員たちの生活を追った冒険物語です。
船員たちには定住の地は無く、龍が現れる空を転々と移動して龍を狩れば港に寄港してさばいてい売り、燃料と食料を手に入れては再び龍を追いかけるという生活を送っています。
”捕龍”は非常に危険な仕事で、一歩間違えると死に至ります。
そうした危険な仕事でありながら、彼らが”捕龍”を続けるのは、龍を1匹でも捕獲できれば7つの街が潤うほどの大金が得られ、また龍は食用として扱われ船員たちはさばいたばかりの龍の肉を食します。
一攫千金を求める者、龍の美味に魅了された者、船員たちはそれぞれ異なる思いで龍を追い続けます。

このマンガは捕鯨船ならぬ”捕龍船”で狩りを行い、世界中を冒険しながら生計を立る捕龍船の乗組員をクローズアップしたお話です。
飛空艇やオートジャイロが登場し時代背景が19世紀後半のヨーロッパ風で、捕鯨砲らしきものを搭載した飛空艇で龍を狩ります。
捕鯨砲と同様に弾頭に炸薬を使用したり、高圧電流を流す電気銛を使用したりと、捕鯨文化をそのまま龍を狩るお話に置き換えています。
このマンガでは料理の描写が非常に細かくて調理方法も実在する方法で味がイメージできるように描かれており、乗組員のさばきたての龍を使った料理で腹を満たすシーンは読者も幸せな気分になります。
世界観と世界設定の面白く、ファンタジー漫画としても是非お勧めいたします。

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アニメ版はこちらです。

Helck /七尾ナナキ

タイトル:Helck
作者  :七尾ナナキ
連載期間:2014年~2018年
巻数  :全12巻

魔界の十五魔王の一人である魔王トールが勇者クレスにより倒されたことで、新たな魔王を選ぶために格闘大会を開くのですが、参加者の中に人間である勇者ヘルクが含まれ優勝候補として台頭するお話です。
主人公で魔界の四天王の一人ヴァミリオは新たな魔王を選出するため格闘大会を開きますが、その参加選手の中に人間の勇者ヘルクが含まれていました。
ヴァミリオはヘルクが参加していることを警戒し、ヘルクを排除しようとしますが、勇者ヘルクは先の魔王を倒した勇者クレスを殺した罪状で人間界では追われる身となっていることを知ります。
ヘルクの目的は何なのか、なぜ人間を嫌い魔王となろうとしているのか?そのころヘルクの情報を集めるために人間界放った斥候は人間の村々を訪れますが、住民が忽然と消えて、人間界に翼をもつ謎の軍が現れていることを知ります。

人間の勇者ヘルクが魔王の座を狙うため、魔界での新魔王を決めるための格闘大会に出場するのですが、そのヘルクは旧魔王を倒した勇者クレスを殺した罪で人間界を追われている身でした。
この漫画は絵はあまり上手くはありませんが、ストーリーが大変面白く、多くの謎が怒涛のように展開され、それを回収していく物語展開で、次の展開がどのようになるのか気になって仕方がない漫画です。
また基本的にはシリアスなストーリー展開ですが、ギャグマンガとしての要素も強く、とにかく今後の展開が大変気になる漫画で、もっと注目されるべきタイトルだと思います。

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不滅のあなたへ /大今良時

タイトル:不滅のあなたへ
作者  :大今良時
連載期間:2016年~
巻数  :既刊18巻(2022年12月現在)

何者かによって生み出された不死の”球”の存在が地上に投げ入れられ、その球が様々な情報を写し取り、やがて自我を持ち世界を旅するSFファンタジー漫画です。
観測者と呼ばれる存在により生み出された”球”はあらゆる物から強い刺激を受けることでその性質を記憶して模倣することが出来ます。
球は地上に降り立ったあと、岩などの無機質なものに変化しますが、やがて力尽きた狼の姿を写し取り、自我を持ち自由に動き回れるようになります。
その後少年と出会い、その少年の死の刺激により人の姿を手に入れ球は「フシ」と名乗ります。
その後も、光、匂い、音、暖かさ、痛み、喜び、哀しみ等の刺激に満ちたこの世界のものを写し取りながら、あらゆる刺激を吸収するために、観測者を共にしながら永遠と世界を旅をすることになります。

この漫画は主人公が人間では無く、不死の存在である「球体の何か」であり、その球が写し取った物体や生命の姿を借りながら永遠と世界を旅していく壮大なSFファンタジーの物語です。
世界観が独特で、地球とも異世界とも言えない様相が面白く、フシ以外の存在は時間が流れ、年老いて死んでいくわけですが、フシという不滅の存在が特異に表現され、近年の漫画にはない深いストーリーとなっています。
哲学的な要素もあり、読者への問いかけや死生観など、答えのないモノに対する追求など、深く考えさせられる描写が多く、漫画を読んでいて不思議な感覚になります。
個人的には似たような感覚に陥った漫画作品として手塚治虫の「火の鳥」が挙げられ、不滅の存在であるフシだけが移りゆく世界に取り残され、それがよりフシの特異な存在を際立たせます。
少しずつ読まずに一気に読んでしまうほうが理解しやすく、漫画作品としてはなかなか得られない思想や満足感が得られるので、是非ともおすすめします。

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アニメ版はこちらです。

進撃の巨人 /諫山創

タイトル:進撃の巨人
作者  :諫山創
連載期間:2009年~2021年
巻数  :全34巻

中世ヨーロッパを彷彿させる巨大な三重の壁に囲まれた世界が舞台の物語で、人を喰いつくす”巨人”があふれる世界で人類が生存をかけて抗う壮大なSFダークファンタジー漫画です。
人類は突如出現した”巨人”によって滅亡の淵に断たされていましたが、三重の巨大な城壁に守られることで生きながらえており、城壁の内側に都市を作り100年もの間命脈を保っていました。
主人公のエレン・イェーガーは城郭都市のシガンシナ区で両親と、イェーガー家に引き取られた幼馴染のミカサ・アッカーマンと4人で生活をしており、幼少の頃から城壁の外がどうなっているのか知りたいと考え、大きくなったら唯一壁外に遠征して壁の外の世界を知ることが出来る「調査兵団」になることに憧れていました。
100年もの間人類は巨大な城壁に守られたことで、巨人の脅威を目にすることはありませんでしたが、ある日シガンシナ区で城壁をも上回る大型の巨人が出現したことで城壁が破れて、巨人が壁内に侵入してきたことで人類は生活圏の3分の1を失うことになります。
エレンはこの騒動の中でミカサと生き残りましたが、母は生きたまま巨人に食べられて、また父は行方不明になるなど心に大きな傷を負い、エレンは巨人を一匹残らずこの世から駆逐することを誓います。

この漫画は非常にストーリーが練られた壮大な物語で、ファンタジー世界を舞台とした内容ですが、魔法や超能力といったものはほとんど登場せず、組織として編成した軍や戦術を駆使して強大な力を持つ巨人に挑む内容となっています。
人類の敵である巨人は人の見た目を保っていますが、知能は持っておらず食事を必要としないにも関わらず人類を捕食する生命体で、大きな損傷でも直ぐに再生してしまう驚異的な生命力を持つなど強大な力を有します。
この巨大な人型の生命体に対して人類は様々犠牲を払うことで、僅かながらの抵抗する手段を見つけますが、人類が巨人に襲われながらも100年近く生存できたのは、”いつどうやって作られたかもわからない巨大な三重の城壁”があったことでした。
「巨人の謎」「三重の城壁の謎」「世界の謎」等の物語の世界設定について非常にオリジナル性があり、様々な謎が物語を進める過程で明らかになり、非常に深く考えられた物語構成となっていることから、多くの読者を鷲掴みにする傑作の漫画作品と言えます。
物語が進むにつれて多くの謎の伏線をきれいに回収していく様はまさに圧巻と言えて、個人的には漫画史上に残る傑作として今後も長く語られる作品になる名作だと思います。
映画化やアニメ化もしており有名な作品なので多くの方が既に漫画を読まれていると思いますが、まだ未読の方にはぜひともお勧めできる作品です。

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映画版やアニメ版はこちらです。

人狼への転生、魔王の副官 ~はじまりの章~  /原作.漂月 漫画:瑚澄遊智

タイトル:人狼への転生、魔王の副官 ~はじまりの章~
作者  :原作.漂月 漫画:瑚澄遊智
連載期間:2017年~
巻数  :既刊10巻(2023年6月現在)

日本人から異世界に人狼として転生し、魔王軍第三師団の副師団長として人間側と戦う異世界転生ファンタジー漫画です。
主人公で人狼のヴァイトは元は日本人でしたが、転生後に人狼として生まれ変わり、魔王軍第三師団の副師団長として辺境の人間の交易都市を占領し、支配と防衛を任されています。
元人間で今は人狼のヴァイトは、人間の気持ちも魔物の気持ちもよく理解し、知性も持ち合わせている為、魔法を習得することで人狼の中でも優れた力を持ち、リーダーとして活躍しています。
周囲からは知勇兼備の名将だと思われていますが、実際は気苦労が多くて暴力に訴えがちな魔物たちを従え、反発する人間たちうまく抑え込み、平和的に交易都市を支配して魔王軍の中堅幹部として奮闘します。

主人公のヴァイトは元日本人ですが異世界に転生後に人狼と生まれ変わり、「魔物として生まれ、魔物の文化の中で育ちながら人間の考え方を理解できる」存在として、魔王軍に所属して活躍しています。
その為、基本的には魔王軍の国益の為に動きますが、人間としての考えも持ち、如何に平和的に人間の街を統治するかと言った考えをめぐらせる流れは視点としてすごく新鮮に感じます。
根回しや密約、裏工作等の政治的な描写がしっかりと描かれており、戦闘シーンも迫力がある等、大変読み応えがあります。

【まとめ買い】 人狼への転生、魔王の副官 ~はじまりの章~ [Kindle版]

小説版と他のコミカライズ作品はこちらです。

寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。 /原作.三秋縋 漫画.田口囁一

タイトル:寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。
作者  :原作.三秋縋 漫画.田口囁一
連載期間:2017年
巻数  :全3巻

無気力で人生に生きがいを感じていない二十歳の苦学生が、生活苦がきっかけで残りの寿命を1年1万円で売り払い、余命の3ヶ月を過ごす小説が原作のファンタジー漫画です。
主人公のクスノキは本や音楽の趣味を持つごく普通の大学生ですが、生活苦から厳選な品定めをして購入したコレクションの書籍やCDを売りに出すことになります。
古書店の店主からは書籍の査定の際に「どうしてこんな勿体ないことをする?」と問われたので、金欠であることを伝えたところ、店主から「寿命を売る気ないか」と尋ねられました。
店主の話では近所のビルの一室に寿命の買取を行ってくれる店があり、寿命の買い取りは人によって買取価格が異なり「今後どれだけ充実した人生を送るはずだったか」によって価値が大きく変わるとの話でした。
クスノキは当初古書店の店主が作り上げた空想だと信じませんでしたが、CDの買取で訪れたCDショップの店員からも”寿命を買い取る店”の存在を聞かされた為、半信半疑でありながらも気が付けばビルの一室に来ていました。
クスノキは店員に自身の寿命を査定に出したところ、結果は最低買取価格である1年1万円で、余命が30年3ヶ月であることから最大で30万円で買い取るという結果になり、クスノキは自身の将来に絶望して余命3ヶ月を残して30年の寿命を売り払います。

この漫画は三秋縋の人気小説である「三日間の幸福」をコミカライズした作品で、タイトルは今のライトノベルのブームに乗っ取った”タイトル名から物語の内容が想像しやすい形”に変えたコミカライズ作品となっています。
「世にも奇妙な物語」のような不思議な雰囲気のファンタジー作品で、寿命の買い取りで余命1年を切った人物には自暴自棄になって問題行動を起こさないように監視員が付くことになり、クスノキは監視員であるミヤギと共同生活を送ることになります。
余命3ヶ月を切ったクスノキは「死ぬまでにやりたいことリスト」を書き出すのですが、監視員は未来でクスノキの人生で”起こるかもしれなかったこと”を知っており、クスノキに時間の浪費をせず余命を過ごすように諭しますが、クスノキは忠告を無視して10年間音信不通だった幼馴染に逢いに行って、結果的に自分の人生の価値の無さを思い知り傷つくことになります。
短編小説が原作ということもあり、不必要な情報や展開が一切無くて全3巻とストーリーが凝縮された漫画で、落ち着いたモノローグ調で語られる雰囲気が非常に良く、面白くて人にお勧めしやすいファンタジー漫画と言えます。

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小説版はこちらです。

ゴブリンスレイヤー /原作.蝸牛くも 漫画.黒瀬浩介

タイトル:ゴブリンスレイヤー
作者  :原作.蝸牛くも 漫画.黒瀬浩介
連載期間:2016年~
巻数  :既刊13巻(2022年12月現在)

ファンタジー世界ではおなじみで最下級モンスターとして扱われるゴブリンに対し、並ならぬ執念で殲滅し続ける冒険者をテーマにしたファンタジー漫画です。
主人公は使い古された鉄兜と革鎧を纏った寡黙な青年で、最下級のモンスターであるゴブリンのみを狩る冒険者として「ゴブリンスレイヤー」と呼ばれています。
10年前、彼は両親を亡くした後に姉と共に生活を送っていましたが、故郷の村をゴブリンに滅ぼされた挙句に姉を惨殺されるという痛ましい出来事があり、ゴブリンに対して尋常ではない執念と恨みを持ち続けています。
ゴブリンを倒し続けたことでゴブリンの生態に熟知し、高価な道具や貴重な古代魔法のアイテも惜しみなく使用し、ゴブリン殲滅に対して常識を逸するほどの執着を持ち続けます。
ゴブリンを倒し続けたことで冒険者として等級を上げて、冒険者の中では一目される存在である銀等級冒険者まで上り詰めます。

この漫画はモンスターの中でも小物であるゴブリンを専門で狩る冒険者が主人公の物語ですが、物語の構成や世界観がしっかりしており、ゴブリンによる人間にもたらせられる被害や、ゴブリンが小物であるゆえの驚異など、細かい設定が世界観に立脚してリアルに描かれています。
原作は2014年にいわゆる「やる夫スレ」で公開されていたAA(アスキーアート)が元になっており、その後同作者が小説に書き起こして2016年に一般書籍の小説として刊行されました。
原作は累計200万部を超えるヒットとなっており、インターネット掲示板で書き込んでいたものが小説になり、そしてコミカライズされるという、小説家が夢見るようなサクセスストーリーでトントン拍子で世に出た作品となっています。
主人公は鎧を脱いだ姿の描写が少なく、名前も「ゴブリンスレイヤー」「君」「彼」と
呼ばれ、姿や名前を出さないところも面白く、これは作者の「読者が好きに名前を考えてくれれば良い」という考えに基づいています。

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小説版やアニメ版はこちらです。

亜人ちゃんは語りたい /ペトス

タイトル:亜人ちゃんは語りたい
作者  :ペトス
連載期間:2015年~2023年
巻数  :全11巻

主人公の高校教師が、「亜人(デミ)」と呼ばれる普通の人間とは異なる性質を持つ生徒との交流を描いたファンタジー学園漫画です。
主人公で高校の生物教師である高橋鉄男は、かねてから亜人に対して興味がありましたが、学生時代に亜人を対象とした卒業論文を執筆するための許可がおりず断念し、なし崩し的に教員資格を使って高校の教師になりました。
鉄男は亜人への興味は尽きることなく続いていましたが、赴任4年目にして「バンパイアの少女」「デュラハンの少女」「雪女の少女」「サキュバスの女性」と出会い、亜人と関わる機会を得ます。
彼女たちの話を聞きながらそれぞれの亜人の持つ問題に取り組み、日々の高校生活の中で、個性的な亜人たちとの交流が繰り広げられます。

この漫画はファンタジー世界の住民である「バンパイア」「デュラハン」「雪女」「サキュバス」などの亜人が現在社会にもいて、社会に溶け込んでいるという設定です。
これらの亜人の性質は遺伝ではなく突然変異によりもたらされ、亜人の家族は普通の人間であったりします。
特別な性質を持つ亜人が、世間からは人の「個性」として認められ、一般社会に自然に溶け込んでいるという世界設定が面白く、それぞれ亜人が抱える個人的な悩みや問題を教師の立場から解決していく学園ドラマ的な展開も見せます。
2017年にはアニメ化しており、ファンタジー世界を現在に落とし込んだ学園コメディ漫画としても魅力です。

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2017年にアニメ化しています。

我が驍勇にふるえよ天地 ―アレクシス帝国興隆記― /原作. あわむら赤光 漫画. 佐藤勇

タイトル:我が驍勇にふるえよ天地 ―アレクシス帝国興隆記―
作者  :原作. あわむら赤光 漫画. 佐藤勇
連載期間:2019年~2021年
巻数  :全7巻

異世界を舞台としているファンタジー作品ですが、異世界物としてよくある「異世界転生/異世界召喚」「魔法」「モンスター」といったものは登場せず、純粋な魔法なしの武勇と軍略のハイファンタジー戦記作品です。
主人公のレオナートはクロード帝国の第八皇子として生まれますが、幼少の頃から権力闘争に巻き込まれ、母との死別をきっかけに帝国皇子としての権威を失い、地方の領地であるアレクシス州にて伯母上に育てられます。
第二の故郷であるアレクシスに安住の地を得たレオナートは、努力を重ねて人として皇子として成長します。
しかし、アレクシスが異国からの侵略を受けた事で帝国に救援を求めるも、味方であるはずのクローズ帝国の貴族からの裏切りに遭い、第二の故郷であるアレクシスを異国に奪われることになりました。
レオナートはクローズ帝都に落ちのびるも、”吸血皇子”の汚名をも着せられ、悲しみとともに失墜しますが、アレクシスで共に闘った戦友と共に再起を誓い、アレクシス州の奪還と腐敗したクロード帝国を立て直す為に立ち上がります。

この漫画はファンタジー世界を舞台とする「戦記物」で、昨今の「異世界転生/異世界召喚」作品がブームになっている中では硬派な作品と言えます。
世界観はフルメイルの騎士やパイク兵などが登場する中世ヨーロッパ調ですが、様々な時代の要素が混ざったており、残念ながら文化レベルが統一されていないように見受けられます。
戦場がメインの硬派な世界観ですが、今時の読者層に合わせる為なのか、ギャグを挟むなどの時折シリアスな世界観が破綻する演出がある為、「硬派な戦記物」を求めている読者層には興醒めする展開が散見されます。
その為、正直に申して「惜しい作品」と言えます。
リアリティについても、少々突拍子もない展開や戦闘シーンがあるものの、基本的には残酷なシーンまでしっかり描きこむリアリティを追求する姿勢で描かれており、好感が持てます。
作品路線が時折ぶれるが、次のストーリー展開が気になる作品で、全7巻と完結しており、物語を上手く畳んではいるものの、所々「惜しい」と思わせる部分が散見されることから、読者層により高評価と低評価と評価が大きく分かれる漫画と言えます。

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ピヨ子と魔界町の姫さま /渡会けいじ

タイトル:ピヨ子と魔界町の姫さま
作者  :渡会けいじ
連載期間:2017年~2019年
巻数  :全2巻

日本にある魔界の住人が暮らす街である「魔界町」を舞台にした、人間の少女と魔界の姫との交友を描いたファンタジー日常系ギャグ漫画です。
主人公の田中ひよ子は親が魔界町でコンビニエンスストアを開業するため、家族一同東京から魔界町へ引っ越ししてくることになります。
魔界町はその名の通り日本の地でありながらも魔界の存在であるため、そこで暮らす住人は「龍人」「獣人」「鬼」など魔界の住民です。
ひよ子はコンビニの手伝いをする中で魔界の象徴でもあり魔王の娘である魔界の姫さまと交友を持つようになり、独特かつ哲学的な思考を持つ魔界の姫さまと、魔界町の日常を描きます。

この漫画は日本の地にある魔界「魔界町」を舞台にした人間の少女と魔界の姫さまの交友と日常を描くコメディ漫画です。
ひよ子の両親はコンビニを経営しており、魔界町でコンビニフランチャイズの一号店を出店するために引っ越ししてくるのですが、そこで出会った魔王の娘である魔界の姫さまを慕い、共に学校生活を送る中で関りを持つようになります。
姫さまは独特かつ哲学的な思考を持ち、その姫さまと日常を共にする中で ひよ子は魔界の文化に触れるのですが、この姫さまが一癖ある非常に尖ったキャラクターでコメディ漫画として大変面白い内容となっています。

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ダンジョン飯 /九井諒子

タイトル:ダンジョン飯
作者  :九井諒子
連載期間:2015年~
巻数  :既刊11巻(2021年9月現在)

古典ファンタジー世界のダンジョンを探検する物語で、倒したモンスターを食材としながら冒険をする料理グルメ漫画です。
主人公で冒険者のライオスは6人の仲間と共にダンジョン深層のレッドドラゴンを討伐しようとしますが、準備が万全ではなくライオスの妹ファリンがレッドドラゴンの犠牲となってしまいます。
ファリンはドラゴンに喰われる直前に仲間全員を魔法でダンジョンから脱出させ、ファリン以外のメンバーは地上に逃れ助かりました。
ダンジョンは不思議な魔力が働き、死者の魂が固定されるためダンジョン内で死んだ人間は蘇生できる為、ライオスはファリンを助けるため再びダンジョン深層へ向かおうとしますが、装備以外の荷物を全て失った為、再び仲間を雇って装備を整えて食料を準備してダンジョンへ潜る金銭的な余裕がありません。
ファリンを助けたいライオスと残った仲間2人と3人でダンジョンに再び潜ることになりますが、食料調達をどうするかという大きな問題が残っていました。
そこでライオスは予てより考えていた”倒したモンスターを食材とする”ことを提案します。

このマンガはファンタジー世界がベースの料理グルメ漫画で、モンスターを食材として実在する調理方法で調理して食べるという異色のマンガです。
登場するモンスターはどれも古典ファンタジーの冒険ものではなじみのあるモンスターばかりで、そういったモンスターを実在する調理方法で調理して腹を満たしながらダンジョン深層へと進んでいきます。
モンスターの形状や生態は様々ですが、現実の生物をモチーフにしたアレンジを加えられてレシピが記載されているので、読者に調理された料理の味がイメージできるような工夫がされています。
このマンガの大きな物語は「ダンジョンの謎を解明する」ことであり、料理ばかりではなくダンジョンの謎が少しずつ明らかになる様がおもしろく、ファンタジー漫画としてお勧めです。

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転生したらスライムだった件 /原作.伏瀬 漫画.川上泰樹

タイトル:転生したらスライムだった件
作者  :原作.伏瀬 漫画.川上泰樹
連載期間:2015年~
巻数  :既刊23巻(2023年6月)

通り魔に刺されて死んだサラリーマンが転生して異世界でスライムに生まれ変わり、ファンタジー世界で活躍する異世界転生漫画です。
主人公の三上悟は大手ゼネコンに勤める37歳の独身貴族のサラリーマンでしたが、ある日会社の後輩が通り魔に襲われたところを庇い、身代りに刺されて死んでしまいます。
しかし、その後意識を取り戻すわけですが、視界は真っ暗で手足を動かせない事に気が付き、よくよく自身を観察すると人の姿ではなく最弱モンスターであるスライムに生まれ変わっていることに気が付きます。
生き延びる為に植物を体内に取り込みながら洞窟内を徘徊していると洞窟に封印されていた巨大な龍・ヴェルドラと出会います。
ヴェルドラは過去に勇者によって洞窟内に封印されて身動きが取れないのですが、悟はスライムに転生したときに身に付けた「捕食者」の能力を使い、封印結界ごとヴェルドラを同意のもと体内に取り込み巨大な力を手に入れます。

スライムと言えばゲームやRPGでは最弱のモンスターとして有名ですが、主人公が異世界に転生したのに最弱のモンスターからスタートするという物語が目を引きます。
スライムはモンスターを捕食(体内に取り込み)ことで能力が高まりますが、その中で洞窟に封印された最強のドラゴンを取り込むことになり、最弱なモンスターが早々に最強の力を手に入れることになります。
その後洞窟から出て様々なモンスターと出会い、大手ゼネコンに勤めていた知識を使いゴブリンの街を再建するなど、異世界で頭角を現して、やがて国造りへと発展させていきます。
転生もののマンガの中でもかなり面白く、原作を読んでからマンガを読むのをお勧めします。

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小説版はこちらです。

ドリフターズ /平野耕太

タイトル:ドリフターズ
作者  :平野耕太
連載期間:2009年~
巻数  :既刊6巻(2018年12月現在)

現世の古今東西の英雄達がファンタジー世界を基調とした異世界に召喚されるストーリーで、大変スケールの大きい異世界召喚歴史ファンタジー漫画です。
主人公である島津豊久は1600年の関ヶ原の戦いの最中に、謎の存在である「紫」の手により、エルフやオークなどの空想上の生き物がいる異世界に召喚されることになります。
また、同じように歴史上の英雄である織田信長や那須与一と出会い、異世界の軍隊であるオルテ帝都から弾圧されるエルフ達に助勢して、国の奪還に加勢することになります。
豊久たちの存在は異世界後では「漂流者(ドリフターズ)」と呼ばれ、豊久や信長、与一以外にも様々な現世の英雄たちがこの異世界に召喚されます。
廃棄物やモンスター達の軍勢を率いる黒王軍は”人ならざる者の軍勢”を使い、人類を絶滅させるべく進軍を開始し、安倍晴明率いる魔導結社「十月機関(オクト)」と対立しますが、晴明は漂流者を集め黒王軍に対抗するために、豊久たちにも協力を要請します。
しかし信長は「漂流者による国奪り」こそが唯一の方法であると説き、自軍の設立に向けて動き出します。

この漫画の魅力は歴史上の人物が異世界に介し、それぞれの陣営に別れて戦うという歴史上の偉人たちによる決戦というスケールがでかい作品です。
日本の歴史上の人物だけではなく、世界の歴史上の人物が登場することや、時系列も様々で古代ヨーロッパから第二次世界大戦の英雄まで多くの人物が登場します。
そういった英雄たちがファンタジー世界を基調とした異世界で軍を率いて戦うというかなりハチャメチャな設定ですが、漫画というコンテンツにおいて「面白そう」というものを詰めるだけ詰め込んだような世界観とストーリーが支持され、4巻までの累計発行部数は240万部というヒット作品となっています。
重厚な絵柄や独特の大仰な台詞回しが魅力で、今後の話がどのように進むのか、結末が大変楽しみな作品です。

【まとめ買い】 ドリフターズ [Kindle版]

2016年にアニメ化しています。

ふらいんぐうぃっち /石塚千尋

タイトル:ふらいんぐうぃっち
作者  :石塚千尋
連載期間:2012年~
巻数  :既刊10巻(2021年12月現在)

見習いの魔法使いの少女が15歳になったら独立して家を出るという魔女の風習に従い、又従兄弟の一家に居候する日常系ファンタジー漫画です。
主人公で見習い魔女の木幡真琴は、15歳になったら独立して家を出るという魔女のしきたりに従い、使い魔の黒猫チトと共に青森県弘前市にある又従兄弟の一家で居候を始めることになります。
自然が豊かな東北地方の弘前を舞台にして真琴は高校に通い、魔女として修業を積みながら様々な人達と関わりを持つようになります。
そうした関わりを持つ人たちには同じく魔女もいますが、精霊や幽霊など不思議な存在達との交流も描かれていり、ゆったりと時間が流れる自然豊かな田舎の中で、真琴と真琴を取り巻く人々の日常を描きます。

この漫画は現在日本に魔女がいて、魔女の組織が日常に溶け込んでいる設定となっており、魔女のネットワークや魔女協会という組織が存在します。
ほのぼのとした日常系の物語が主体で、その中で魔法というアクセントがある漫画なので、魔法で派手な展開等を期待するようなことはありません。
真琴を中心として彼女を取り巻く人々の騒々しくも穏やかな日常の風景を淡々と描かれるマンガで、バトル要素や恋愛要素も皆無で、ゆっくりとしたほのぼの日常系マンガを求めている方にピッタリなマンガです。

【まとめ買い】ふらいんぐうぃっち [Kindle版]

2016年にアニメ化しています。

蜘蛛ですが、なにか? /原作.馬場翁 漫画:かかし朝浩

タイトル:蜘蛛ですが、なにか?
作者  :原作.馬場翁 漫画:かかし朝浩
連載期間:2016年~
巻数  :既刊11巻(2022年3月現在)

女子高生が異世界で蜘蛛のモンスターに転生し、生き延びるためにサバイバルを行うファンタジー冒険漫画です。
女子高生である主人公は教室で不思議な現象に襲われ、気が付くと暗い地下道で目が覚めます。
教室からいきなり見知らぬ暗闇に放り出されてパニックに陥りますが、さらに追い打ちをかけたのが、自分の姿が人ではなく蜘蛛の姿になっていたことでした。
これが普通の蜘蛛かと思いきや、どうやら常識の範囲を超える大きさで、少なくとも地球上に存在する蜘蛛の大きさを凌駕していました。
自分が蜘蛛のモンスターになったことにショックを受けつつも、生き延びて真相を知るために地上世界を目指します。

このマンガは女子高生が最底辺の蜘蛛モンスターに転生するというお話で、地下の大迷宮で底辺モンスターを狩って食して生き延びるお話です。
昆虫を狩って食し、スキルを上げて成長して地上に出ることを目標として地下迷宮をさ迷い続けます。
この世界には人間もいるため、主人公は蜘蛛モンスターなので狩られる対象なので、時折襲われたりします。
主人公が敵対する生物(食糧とする生物)は主にモンスターで、コミカルな絵でごまかしてますが、虫が苦手な人は少し抵抗のある描写があります。
女子高生が蜘蛛に転生した設定ですが、女子高生要素が全く無くてモンスターとのバトルが続く硬派なマンガで、もう生き延びるのに必死で屍を超えて生き抜く姿に感動すら覚えます。

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小説版とアニメ版はこちらです。

ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり /原作.柳内たくみ 漫画.竿尾悟

タイトル:ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり
作者  :原作.柳内たくみ 漫画.竿尾悟
連載期間:2011年~
巻数  :既刊21巻(2022年8月)

ある日突然日本の銀座に異世界からの門(ゲート)が開き、異世界の軍隊が日本に攻め込むのですが、自衛隊が応戦して活躍するファンタジー世界を舞台にしたミリタリー漫画です。
主人公で自衛官の伊丹耀司は銀座に門(ゲート)が開き異世界の軍勢が進軍してきた際に偶然居合わせ、混乱する現場で指揮を執り、民間人の被害を最小限にとどめます。
その後自衛隊と警察の組織だった応戦により異世界の軍勢の進軍を食い止め、門(ゲート)まで押し返すのですが、門(ゲート)の向こうに広大な土地と資源が存在する可能性を知った日本政府は、自衛隊を異世界側に派遣して異世界側の門(ゲート)を占領して大規模な陣を築きあげます。
異世界の軍勢は門(ゲート)の奪回のため進軍してきますが、近代兵器がそろった自衛隊の一方的な戦闘により組織だった抵抗勢力を壊滅させることになります。
伊丹は銀座事件での功績で二等陸尉に昇進して第3偵察隊の隊長に任ぜられ、異世界の調査に乗り出します。

この漫画は異世界から門(ゲート)を通して攻め込まれた日本が、逆に門(ゲート)を使って異世界に自衛隊を派遣し、異世界側の一部を占領して陣を築き、異世界との政治的な関りや異世界との文化交流を行う、ミリタリー色の強い異世界マンガです。
異世界は古代ヨーロッパを彷彿させる文化レベルで、日本は不意を突かれたことにより、当初は銀座から二条橋まで攻め込まれますが、その後自衛隊の活躍により、異世界側の門(ゲート)を占領し、そこを拠点として異世界への足掛かりを築きます。
自衛隊がドラゴンと組織だった部隊戦闘を行うなど、ミリタリー色の強い内容となっており大変面白いマンガです。

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小説版はこちらです。

ポーション頼みで生き延びます! /原作.FUNA 漫画.九重ヒビキ

タイトル:ポーション頼みで生き延びます!
作者  :原作.FUNA 漫画.九重ヒビキ
連載期間:2017年~
巻数  :既刊9巻(2022年3月現在)

神様の手違いより死亡したOLが異世界で新たな人生を送るためにチート能力を神様に要望して、ファンタジー世界で安全で幸せに生きていくことを目的とした内容となってます。
主人公の長瀬香はOLとして働く22歳の女性ですが、ある日会社帰りに運悪く神様のとばっちりを受けて死亡することになります。
死亡後に神様の前に立った香は元の世界に戻ることを望みますが、すでに肉体は死亡認定されて火葬された為、他の世界で新たな人生を送ることを提案されます。
香は神様に対して異世界で安全に幸せに生きていくための能力として、「思った通りの効果がある薬品を自由に生み出すの能力」を要望し、神は誤って死亡させたうしろめたさから、それらの希望をかなえます。
香はこのほかにも神様に対して様々な要望を伝えて、魔法や魔物が跋扈する異世界で生き抜くチート能力を身に着けて異世界の地に立ちます。

この漫画はファンタジーベースの異世界転生をテーマにした漫画や小説をある程度読んでいいる読者を前提とした物語展開から始まり、異世界に転生するくだりが大きく簡略化され、また異世界に転生された人物が特殊な能力を持つということが前提となった物語展開を見せます。
「異世界に転生する人物は何か特殊な能力を持つ」という、いわゆる”チート能力”がお約束のような展開で始まる物語ですが、異世界転生を題材とした漫画や小説はそれらが様式美となっているため、すんなりと入りやすいストーリーとなっています。
異世界を舞台としたファンタジー物語なのに戦闘シーンがほとんどなく、中世ヨーロッパ風の都市や村が舞台の物語展開であるため、ファンタジー要素が少ない展開が続きますが、チート能力や知恵を使って女性が異世界の地で賢く生きていく展開や設定は十分面白く、今後の展開が気になる作品です。

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小説版はこちらです。

とんがり帽子のアトリエ /白浜鴎

タイトル:とんがり帽子のアトリエ
作者  :白浜鴎
連載期間:2016年~
巻数  :既刊11巻(2022年12月現在)

魔法使いにあこがれていた少女が魔法使いの禁忌に触れたことで、魔法使いへの道へと進むを王道魔法ファンタジー漫画です。
主人公で仕立て屋の娘であるココは魔法使いにあこがれを抱いていました。
この世界では魔法使いは特別な存在で、生まれた時から魔法を使えない人は魔法使いになることは出来ず、また魔法は神聖なもので魔法をかける瞬間を見てはならない等の禁忌が存在します。
こうした理由でココは魔法使いに憧れているのですが、魔法使いになる夢は諦めていました。
しかし、ある日仕立て屋の客として訪れた魔法使いキーフリーの魔法を使うところを見てしまい、ココはこの世界では禁忌とされている魔法を見るという行為をしてしまい、魔法使いに関わることとなります。

この世界では魔法使いは特別な存在で、魔法により作られた便利な道具により支えられています。
しかし魔法を使っているところを見てはならないという禁忌があり、それをココは犯してしまい、その結果魔法使いのキーフリーと共に魔法使いとして修業を始めることになり、あこがれの魔法使いになることが奇しくもかなってしまいます。
この漫画は絵が美しく王道のファンタジー漫画として世界観が非常に良く確立されています。
魔法の設定非常に細かく説明されており、絵柄も丁寧で道具などの描写がとても美しく描かれています。
魔法をテーマにした王道ファンタジー作品として完成度が高く、こういった世界観を求める方には間違いのないマンガ作品で大変おすすめです。

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白暮のクロニクル /ゆうきまさみ

タイトル:白暮のクロニクル
作者  :ゆうきまさみ
連載期間:2013年~2017年
巻数  :全11巻

2015年の東京を舞台としたミステリー漫画で、この世界では「オキナガ」と呼ばれるドラキュラに似た不老不死の種族が世間からの言われのない差別や様々な問題を抱えながらも社会に溶け込んで共に生活しています。
主人公の一人で厚生労働省に務める伏木あかりは、保健所での研修中に殺人事件に遭遇します。
この事件がきっかけで、あかりはオキナガの監督を行う部署「夜間衛生管理課」に配属されることになり、上司に連れられ訪れた私設図書館でもう一人の主人公である雪村魁に出合います。
魁はオキナガで見た目は18歳と若いですが80年以上生きており、魁とあかりは共に「オキナガ案件」と呼ばれるオキナガに関連する事件に関わることになります。

このマンガでは細かな設定がしっかりと構築されており、「オキナガ」と呼ばれる不老不死の種属がどうやって日本の社会に根付いているのか、そのことで起きる問題をどういう方法で対応しているのかと言った物語の根幹となる設定をしっかりと補強しており、「オキナガ」と呼ばれる不老不死の種属が社会に溶けこんだ世界観を違和感なく構成しています。
例えば”オキナガ”が生まれる説明に「なりあがる」という言葉があるのですが、外傷を受けた人にオキナガの血を与え、適応すると「オキナガという存在に”成って”人から“上がる(終る)”」という意味で、言葉一つとっても設定が魅力的です。
「オキナガ案件」の事件の追って行くうちに様々な謎が一つずつ明らかになり、「オキナガ」独自の数十年・数百年にわたる人間関係や人間ドラマが面白く、テンポよく読むことが出来る漫画です。

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魔法使いの嫁 /ヤマザキコレ

タイトル:魔法使いの嫁
作者  :ヤマザキコレ
連載期間:2014年~
巻数  :既刊19巻(2023年4月現在)

魔法使いとして潜在能力を持った少女が人身売買に臨み、魔法使いの弟子兼妻として落札されるお話です。
主人公の羽鳥智世は生まれつき”人ならざるもの”を見ることができるため他人や家族からも疎まれ、不幸と孤独にまみれて生きてきました。
智世は自暴自棄となりイギリスに渡り、闇のオークションで「商品」として扱われますが、そのオークションで智世は骨頭の人外エリアス・エインズワースに500万ポンドで落札されることになります。
エリアスは智世に対して魔法使いとして大きな素質を持っていることを見抜き、弟子にしつつ嫁にするつもりであることを告げます。
イギリスでの生活のなかで、智世はエリアスと共に魔法使いの弟子で嫁として生活を送ることになります。

このマンガは魔法使いの世界が細かく描写されており、習慣や風習、文化といった物が細部まで表現されて、異文化の描写を楽しむことが出来ます。
智世自身が魔法使いとしての素質を持ち、エリアスと出会ったことで能力を正しく制御する術を身に付け、人外や異形といった様々な者と交流を持つようになります。
絵が美しく世界観を丁重に説明はしていますが登場人物が多く独自の用語も登場するので、ややゆっくりと読む事をお勧めします。
智世とエリアスの関係は今後どうなるのか、展開が楽しみなマンガです。

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2017年にアニメ化してます。

ルリドラゴン /眞藤雅興

タイトル:ルリドラゴン
作者  :眞藤雅興
連載期間:2022年~
巻数  :既刊1巻(2020年10月)

女子高生がある朝いつも通りに目覚めると、頭に角が生えているという、突拍子もない設定から始まるこれまでの漫画には無かった展開の「日常系×青春×ファンタジー」漫画です。
主人公で青木ルリは、普通の女子高生として高校に通っていますが、ある朝、いつも通りに顔を洗っていると、鏡に映る自分の姿に異変がおきており、頭に2本の角が生えていることに気が付きます。
突然の得体の知れない変化が身体に現れ、角が頭から生えていることに驚愕したルリは、母親に助けを求めたところ、母親からは冷静にルリの父親は人間ではなく、龍(ドラゴン)であり、ルリはドラゴンと人間のハーフであることを告げられます。
母親からの告白に動揺を隠せないものの、角が生えただけで特に身体に問題がないことから、ルリはいつも通り学校に登校することにします。
同級生からは突然角が生えていることに奇異の目線を感じつつも、いつもと変わらない形で接してくれることに安心してのも束の間、ドラゴンとしての身体的な変化があらわれ、いつもの変わらない日常に大きな異変が起きていきます。

この漫画はジャンルとしては日常系青春漫画なのですが、ドラゴンというファンタジー要素をかなり強引な形でぶっこんできている作品です。
多くの漫画では日常の中にファンタジー要素をいれる場合は、世界観にある程度のファンタジー寄りの設定が盛られることが一般的ですが、この漫画では一切の寸度が見られず、ドラゴンどころかモンスターも存在しない、ごくごく普通の日本の日常社会の中に、突然角を生やして覚醒したドラゴンと人間のハーフを登場させるという、半ば強引とも言える世界観となっています。
こうした「突如覚醒した主人公」を題材とした作品の多くは、主人公が力に目覚めて社会がパニックが起こるような流れが多いですが、本作では日常の一部としてすんなりと社会に受け入れられており、「ゆるい日常」によって強引ともいえる平常運転で物語が進んでいきます。
漫画作品として珍しい物語展開であることや、読み進める中で違和感を感じつつも、それをすべて”うまく流すふわっとした世界”に好感が持てる作品で、絵柄も一般受けしやすいことから人にも勧めることができるお勧めの作品です。

無職転生 – 異世界行ったら本気だす - /原作.理不尽な孫の手 漫画.フジカワ ユカ

タイトル:無職転生 – 異世界行ったら本気だす –
作者  :原作.理不尽な孫の手 漫画.フジカワ ユカ
連載期間:2014年~
巻数  :既刊18巻(2023年2月現在)

ニートで引きこもりの男性が事故死で死んだ後に転生して、魔法が存在し亜人などが住むファンタジーの世界で人として生まれ変わる異世界転生漫画です
主人公は20年近く引きこもる34歳無職の男性ですが、両親の葬式に参列しなかったことで、兄弟に見限られて家を追い出されてしまいます。
その後トラックに轢かれそうになっていた高校生を助けようとして事故死するのですが、目が覚めると赤ん坊になっており、人に転生していました。
しかし転生した先が日本ではなく、剣や魔法が存在する異世界で、生まれ変わったことを機に前世での後悔から、今度こそ真面目に生きようと決意し、家族を大事にして懸命にまじめに人生に取り組み、幼少のころから魔術・剣術・言語などを学び頭角を現して様々な人との出会いながら人として成長していきます。

ニートで引きこもりの34歳無職の日本人男性が、トラックに轢かれて死んだあと中世ヨーロッパ風の剣と魔法のファンタジー異世界に転生する設定です。
人として転生し赤子から人生を再スタートするわけですが、前世の記憶があるため幼いながら大人の対応をして神童として成長していきます。
異世界に転生した主人公が現代の知識や魔法を使って活躍するお話ですが、前世での家族や人間関係のトラウマを克服する為、新たな人生を真剣に生きようとするお話で、コミカルながら真面目な側面もあり、テンポよく楽しめるマンガです。

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小説版はこちらです。

スライム倒して300年知らないうちにレベルMAXになってました /原作.森田季節 漫画.シバ ユウスケ

タイトル:スライム倒して300年知らないうちにレベルMAXになってました
作者  :原作.森田季節 漫画.シバ ユウスケ
連載期間:2018年~
巻数  :既刊12巻(2023年2月現在)

仕事で過労死したOLが転生して、ドラゴンやスライムといった魔物が存在するファンタジー世界で不老不死の魔女に生まれ変わる異世界転生マンガです。
主人公の相沢梓は仕事の為だけに生きる27歳のOLでしたが、仕事の無理がたたり若くして会社で倒れて過労死で亡くなります。
仕事のためだけに生きた人生を哀れに思った天使により不老不死の魔女として転生され、梓は異世界で高原にある家を手に入れ穏やかな生活を送ることになります。
日課として高原周辺に出現するスライムを倒しながら小銭を稼ぎ生活を送るという
前世では考えられなかったのんびりと穏やかな時間を送ることになります。
そしてそんな生活を300年続けていると、いつの間にやらレベル99の魔法使いに成長して最強の力を手にしていました。

過労死したOLが転生したファンタジー世界でのんびりとした生活を送っているつもりが、毎日小遣いを稼ぐために倒していたスライムの経験値により、300年後には世界最強クラスの魔法使いになっていたというお話です。
梓は注目されるのを嫌い周辺の村やギルドに口止めをしますが、噂が噂を呼び冒険者やドラゴンなどが腕試しに訪れるようになります。
梓の平穏な生活はどうなるのか、スローライフは保てるのか、今後が楽しみなマンガです。

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小説版とアニメ版はこちらです。

29歳独身中堅冒険者の日常 /奈良一平

タイトル:29歳独身中堅冒険者の日常
作者  :奈良一平
連載期間:2016年~
巻数  :既刊14巻(2023年2月現在)

29歳の冒険者がダンジョンで出会った身寄りのない少女を不憫に思い、冒険者の仲間として共に二人の共同生活を送る子育て冒険ファンタジー漫画です。
主人公で冒険者のシノノメ ハジメは白銀等級冒険者で、冒険者の中では一目置かれる強さを誇りますが、村付きの冒険者として日々村人の依頼をこなしています。
ある日、仕事でダンジョンに潜ったところ、お腹を空かせた少女・リルイと出会うのですが、リルイは親に捨てられ身寄りが無く、一人で生きていく強さもありませんでした。
ハジメは自身が親に捨てられ貧民街で幼少の頃を過ごした経験から、リルイを放っておくことも出来なかった為、リルイを冒険者の仲間にすることで彼女を保護します。
しかし、リルイは普通の人間の少女ではなく「古代種の子供」で太古の種族であるサキュバスの特性を持っていました。

この漫画はファンタジー世界で29歳の独身男性が冒険者として生活を送っていたところ、身寄りのない少女を冒険者の仲間という名目で保護し、共に生活を送る内容となっています。
子育て漫画とも言えるのですが、ファンタジー世界ならではエピソードが含まれる面白い構成になっており、エピソードの一つ一つがとても面白いです。
リルイは古代種の子供で特別な力を持っており、特定の条件下で大人の姿になるのですが、それが今後どのような物語の展開に関わるのかはまだわかりません。
世界観としては「人間」「獣人」「エルフ」「ドワーフ」などファンタジー世界の住民がおり、またモンスターが存在して「ダンジョン」「ギルド」「冒険者」も存在するファンタジーの王道の構成となっており、そうした世界で独身男性が子育てをしながら子供の成長を見守るという物語が珍しく、また絵も雰囲気も良く好感が持てる漫画作品です。

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虚構推理 /原作.城平京 漫画.片瀬茶柴

タイトル:虚構推理
作者  :原作.城平京 漫画.片瀬茶柴
連載期間:2015年~
巻数  :既刊18巻(2022年12月現在)

「人魚」「河童」「くだん」などの様々な怪異が登場し、ファンタジー色の強い怪異をテーマにしたミステリー漫画です。
主人公で大学生の岩永琴子は11歳の頃に神隠しに遭い、右眼と左足の膝から下を失うことで、怪異たちの知恵の神になります。
琴子はこの神隠しがきっかけで、怪異たちのトラブルの仲裁・解決する役割を果たすようになり、人間と怪異の中間に位置する存在になります。
もう一人の主人公である桜川九郎は幼少の頃に「くだん」と「人魚」の肉を食べさせられたため、未来をつかむ力と不死身の体を持つことになりました。
二人は世間を騒がせ都市伝説として語られるアイドルの亡霊・鋼人七瀬を消滅させるために、鋼人七瀬が消滅する未来をつかむための欺瞞に満ちた虚構の推理を展開します。

このマンガは城平京の小説が原作で片瀬茶柴がマンガを担当しています。
「人魚」「河童」「くだん」など、様々な怪異が登場し、ファンタジー色が強いですが、しっかりとした推理と考察が行われ、鋼人七瀬と呼ばれる都市伝説が生み出した亡霊を退治する物語です。
小説のペースで漫画を描いているのか、物語の展開がかなりゆっくりで、小説1冊を漫画6巻で描いているため、漫画を読んでいるのに小説を読んでいるようなペース配分で不思議な感覚になります。
キャラクター設定が魅力的で台詞では語らない描写がところどころにあり、何度も読み返して楽しめる漫画です。

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とんでもスキルで異世界放浪メシ  /原作.江口連 漫画.雅

タイトル:とんでもスキルで異世界放浪メシ
作者  :原作.江口連 漫画.雅
連載期間:2017年~
巻数  :既刊5巻(2020年2月現在)

異世界に召還されたサラリーマンが特殊能力を使い商人兼冒険者として生計を立てて冒険ファンタジー漫画です。
主人公でサラリーマンの向田剛志は異世界からの勇者召喚に巻き込まれます。
他の召還された少年少女は勇者として固有スキルや戦闘向きのスキルを持っていましたが、向田は勇者として固有スキルも戦闘向きのスキルも持ち合わせておらず、「ネットスーパー」というわけのわからない能力しかありませんでした。
ネット小説を読むのが趣味だった向田は、召喚した王様の言い分や身なりから「これはあかんタイプの異世界召喚だ。」と判断し、王様の要望を断り別の国へと旅に出ることにします。
向田の持つ固有スキル「ネットスーパー」は異世界の通貨を支払うことで、日本のネットスーパーで商品を購入し手元に転送する能力で、様々な食品や調味料を調達して護衛を雇って隣国へと旅に出ます。
しかし野営中に伝説の魔獣「フェンリル」が現れて食べていた料理を要求される事態になり半ば強引に従魔契約を結ばされることになります。
「フェル」と名付けた伝説の魔獣と共に商人兼冒険者の生活が始まります。

異世界召還物の中ではかなりぶっとんだ設定で、戦闘がメインではなく向田が固有スキルを使い異世界で如何に生きていくかという冒険物語と、ネットスーパーで購入した食材と異世界で調達した食材を組み合わせたグルメ料理マンガともいえます。
向田と従魔契約を結んだ「フェンリル(フェル)」は”一頭で国を滅ぼせる”ほどの獰猛な魔獣ですが、向田の料理の虜になり従魔契約を結ぶ代わりに3食を用意させる契約を結びます。
凄い世界設定のファンタジー漫画ですが、読んでいて面白いので設定の違和感はすぐ気にならなくなります。

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HUNTER×HUNTER /冨樫義博

タイトル:HUNTER×HUNTER
作者  :冨樫義博
連載期間:1998年~
巻数  :既刊37巻(2022年12月現在)

独自性の高い壮大な世界観と濃密なストーリーが魅力の作品で、週刊少年ジャンプを代表する冒険ファンタジー漫画です。
主人公の少年ゴン=フリークスは、幼少の頃に巨獣に襲われた所をハンターのであるカイトに助けられた事をキッカケに、死んだと思っていた父親が優秀なハンターとして世界中で活躍していることを知ります。
ハンターとは「怪物・財宝・賞金首・美食・遺跡・幻獣」といった珍しい事物を追求することに生涯をかける人々の総称で、ゴンはハンターに強く憧れるようになり、父親を追ってハンターになる事を誓い、ハンター試験を受ける為に故郷を旅立ちます。

この漫画は1998年に連載が始まった漫画ですが、休載することがある為、20年以上連載が続いていますがそれ程巻数はありません。
ストーリが大変面白く、深く練り上げられた世界設定や物語が魅力的で、少年誌での連載とは思えない残虐な描写があるなど、あらゆる意味で規格外のマンガです。
ジャンルは冒険ファンタジーですが、じっくり読まないとわかりにくい難解な表現やミステリー・サスペンス要素もあり、読者を引きずりこむ魅力的な物語構成が素晴らしく、日本のみならず世界中の多くの読者に支持されています。
物語はいくつかの章に分かれ、それぞれ細かな設定があるので覚える事が多いですが、別次元の面白さがある漫画です。

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最後に

おすすめのファンタジー漫画はいかがでしたでしょうか。

ファンタジー漫画は本当に数が多くいので、まだまだおすすめしたい作品があるのですが、今回はここまでとしたいと思います。

ファンタジーの解釈を広げるともっと多くの作品がファンタジーのジャンルに含まれると思いますが、また次回に機会があればファンタジー漫画のご紹介記事を書きたいと思います。

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